「前職での鮮魚の卸会社では、買い叩かれるのが当たり前でした。『あと100円負けたら、買ってやる』みたいな。でも、その100円が卸会社にとっては利益なんです。自分の儲けのためだけに値段交渉するのは絶対にやめるよう、アベンジャーズに伝えています」
その方針は結果的に、商品の質と卸会社との信頼関係につながる。例えば、ひまわり市場が130円で仕入れるレタスを、買い叩く会社は30円で仕入れる。すると、同じ畑で採れたとしても一番状態のいいものを厳選して送ってくれる。大雪のときに、わざわざ配達までしてくれる取引先もあるという。定価で大量に継続発注するから「重要取引先」になるのだ。
「買い叩いたら、恨まれる。いざという時に、相手にしてもらえなくなる」
「給料は経費じゃない、投資だ」
アベンジャーズにそう説明する那波さんの姿勢は、人材採用にも通ずる。労働分配率65%。頑張った人が報われる会社でありたいから、利益の3分の1は従業員で分け合う。
「従業員のお給料は、経費じゃなくて投資です。投資が大きければ大きいほど、会社にリターンが返ってくると考えています」
だから、一流の職人が集まり、とどまるのだ。
鮮魚コーナーには「松川かれい」が並ぶ。豊洲の市場でさえ1日5箱ほどしか入荷しない高級魚を、一流の料理人が刺身にする。1本1万円で仕入れた商品が2万円分の価値を生む。どんな魚でもさばける職人がいるから、珍しい食材も仕入れられる。期限が迫った生鮮品も一流の料理人が腕を振るい惣菜に変える。廃棄はほぼゼロ。
