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「編集者は書き手を育てるべきか?」で議論に…「マンガ業界は新人を育成してる」と指摘する人が見落とす"重大論点"

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論争の背景には、出版文化の存続にかかわる「より大きな問題」が隠されている(写真:davinci/PIXTA)
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つまり、マクロ的に見れば、これは「育てる・育てない」という価値観うんぬん以前に、「現在の出版エコシステムに、育成という『先行投資』を行うだけの資本的余力がなくなりつつある」という経済構造の問題なのである。

分かりやすく言えば、新入社員を育てる余裕のない会社が「すでに他社で育成された使える人材」(中途採用)しか雇用しなくなるのとまったく同じように、出版社も「即戦力の書き手」にしか仕事を頼まないというコストカットを図っていることになる。

次に「ジャンルごとの経済合理性の違い」は、媒体によって「育てる」の定義が変化することを指している。そのビジネスモデルが「ストック(資産)型」か「フロー(消費)型」か、という性質が異なることに由来するものだ。

マンガ・小説は「ストック(資産)型」=IPビジネス系に分類される。著者の「作家性」や「キャラクター」そのものが価値になり、一度ヒットすれば、単行本、映画化、海外展開など、何十年にもわたって利益を生み続ける貴重な「資産」になりうる。

ここおいて編集者は、いわば「ベンチャーキャピタリスト(投資家)」となる。プロットを一緒に練り、定石を叩き込むという過酷な共同作業は、将来の巨大利益を見据えた「長期投資」として完全に経済合理性が貫かれている。

片や、一般書・実用書・週刊誌ルポは、「フロー(消費)型」=情報調達ビジネス系に分類される。価値の源泉は、著者の才能というより「今、社会が求めている情報、事実、専門知識」である。トレンドが過ぎれば消費されてしまう「流動資産」といえる。

ここにおいて編集者は、投資家ではなく、最適な人材を配置する「プロデューサー/ディレクター」のようなものである。求められるのは、「すでに仕上がっている」専門家やライターを調達・アテンドする能力となる。ここで「実力のある書き手に育てる」のは、昨今のビジネスのスピードからして大きなロスにしかならないだろう。

IT革命以降「育成の場」は外注化が進んだ

最後に、育成の「外注化(プラットフォーム化)」に触れておく必要がある。近代の出版システムにおいて、出版社は唯一のゲートキーパー(門番)であった。世に出るルートが出版社しかなかったことから、編集者はその門前に毅然と立ちはだかり、原石を磨いて(育てて)プロフェッショナルの資格を与える必要があったのである。

しかし、インターネットによるIT革命以降、その「育成の場」の意味が急激に変容していく。現代において、多くの新人小説家やライターは、ウェブ投稿サイト(「小説家になろう」、noteなど)やSNSという広大な「アマチュアの海」で、読者のPV、いいね、投げ銭といった過酷な市場のフィードバックを直接受けて「育つ」ようになっている。

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