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原爆、ホロコースト、植民地――同じ出来事でも国によって書き方は違う歴史の教科書、と聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。
中学や高校で使っていたあの分厚い1冊。年号の暗記、太字の人名、テスト前夜のため息。多くの人にとって、歴史の教科書とは「過去の事実が淡々と並んだ、動かしがたい本」だったのではないかと思います。
しかし、世界の教科書をめくってみると、「事実」が並んでいるのが歴史の教科書ではないということに気付かされます。同じ「歴史の教科書」でも、国境を一つ越えれば、書き出しも、強調点も、語り口も、驚くほど違うのです。
本稿では、『世界の歴史教科書を読み比べてみた』の制作に携わった西岡壱誠氏が、原爆投下、ホロコースト、植民地支配といった「重い記憶」をめぐる各国教科書の扱いを手がかりに、「歴史を書く」とはどういう営みなのかを考察します。
「歴史はどこから始まるのか」は国ごとに違う
まず興味深いのは、そもそも「どこから歴史を始めるのか」が国ごとに違う、という点です。
日本の学校で歴史を学んだ人なら、「クロマニョン人」「四大文明」「メソポタミア」――そんな言葉から始まる世界史に馴染みがあるでしょう。人類の誕生から文明のあけぼのへ。時系列に沿って、できるだけ網羅的に学ばせる、というスタイルです。
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