訪問したのは13時過ぎ。客層は30代以上が中心で、観光客と思しき外国人グループや、1人で訪れた女性客の姿もあった。先日、筆者が東洋経済オンラインに寄稿した「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」の取材で見た20代中心の夜の流動とは、明らかに空気が違った。
大黒屋とラムちゃん、それぞれの「勝ち筋」の違い
観察した範囲では、酒を積極的に飲む様子はあまり見られなかった。代わりに目についたのは、ランチセットを食べ終えた後に肉を追加注文する客の姿だ。ラムちゃんで観察した「肉が終わったら小皿と飲みへ移行する」動きとは対照的に、大黒屋では「もっと肉を食べる」方向に客単価が伸びていた。
滞在時間は約1時間。食べ終えたら席を立つ客が多く、長居する空気ではなかった。比較的短い滞在時間と目的来店の組み合わせが、昼営業を成立させている構造にも見えた。
「本場感」の正体も、取材を通じて少し見えてきた。北海道感というより、「専門性の積み上げ」だった。炭火・北海道の鋳物鍋・毎日手切りの肉・オリジナルスパイス。メニューには「余分な脂や筋を取り除く」と明記されており、実際に羊特有の強いにおいは少なく、脂に甘みがあった。タレは濃すぎず、肉を食べるための設計になっていた。
