東洋経済オンラインとは
ビジネス #AI大失業が来る

失業より怖い〈AI監視〉 仕事ぶりをAIが評価するたった1つの観点とは? 「アメリカはジョブ型」と思い込むと見誤る

9分で読める 有料会員限定
山崎 憲・明治大学経営学部教授(撮影:尾形文繁)

INDEX

AI(人工知能)は会議の議事録を起こしてくれるし、メールの下書きもしてくれる。仕事の生産性がどんどん上がる水面下で何が起きるのか。
職場でのふるまいの情報がAIを搭載したシステムに収集され、そのデータ分析を基にAIが従業員を評価する。結果、評価軸は、「成果」から「コミュニケーション」に変わる――。
このような新しい視点を提示したのは、日米を中心に企業の競争力の面から人事制度を研究してきた山崎憲・明治大学経営学部専任教授だ。同氏は、5月に刊行した『ジョブ型の真実とAIと協働』(日本生産性本部)でAI時代の働かせ方の行く末を浮かび上がらせた。
AIによる監視と協働への圧力が、企業と働く人、そして社会にもたらす変化とは。山崎教授に聞いた。

 

AIが監視するのは「マウスの動き」ではない

――AIに仕事を代替され、失業が進むと懸念されています。

AIで仕事がなくなることは起きないわけではないが、それはAIの本丸ではない。企業がAIを使って従業員同士のコラボレーション(協働)を監視し評価できるようになることがほとんど認識されていない。

社内のさまざまな人と絶えずやりとりし、会議で発言をし、プロジェクトに貢献しているかどうかを、議事録やメール、チャットの中身を基にAIが分析する。アメリカのテック企業ばかりでなく、日本でもすでに取り入れられている。

――コロナ禍で在宅ワーク中のマウスの動きをチェックするという話がありました。

企業にとってはマウスを動かしているかどうかなんてどうでもいい。監視するのは労働時間ではない。どのような協働を行っているのかというコミュニケーションの中身だ。

なぜかといえば、連携と協働こそがイノベーションをもたらし、企業の競争力の源泉となるからだ。

日本の強みを徹底分析し、実践した

――アメリカは「ジョブ型」で個々の仕事の範囲が決まっているのではないのですか。

そのような「ジョブ型」はアメリカに存在しない。アメリカ企業が重視しているのは、ジョブとジョブのつなぎ目、つまり連携と協働をどう設計するかだ。

それは1980年代、日本の製造業に敗北し、アメリカの自動車メーカーや電機メーカーが次々と倒産する中で、日本はなぜ競争力が高いのかを徹底的に分析して取り入れたものだ。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象