ノドグロミツオシエという、アフリカに生息する小鳥のことを知った時、私は度肝を抜かれた。「まさか、おとぎ話じゃないんだから」と信じられぬ思いがした。なんせこの鳥は、「ミツオシエ」の名が示すように、ヒトに蜂蜜の場所を教えるらしい。秘密の信号を原住民と交換し、互いに協力し合うらしい。
小鳥に導かれて原住民は蜂蜜を収穫し、小鳥は蜜蝋をぱくぱく
この鳥の好物はハチの巣である。ハチの腹部から分泌され、巣の材料となるワックス(蜜蝋)を日々の糧とする。問題は、蜜蝋をどのように手に入れるのかだ。がむしゃらに巣を襲えば、反撃されて痛い目に遭う。そこでこの賢い小鳥は、自分の代わりに巣を襲撃してくれる相棒、すなわち原住民を探す。
原住民は原住民で、一方的に利用されるわけではない。彼らは蜂蜜に目がない。蜂蜜ほど糖分が凝縮された、奇跡のような自然物は他になく、それはそれはほっぺたが落ちるほどおいしい。そこで彼らは、小鳥に導かれて木の幹に作られたハチの巣を見つけると、斧で木を切り倒し、煙でハチを追い出して、蜜のぎっしり詰まった巣蜜を収穫する。蜜蝋はいらないので、その場に置いておく。そもそもヒトはワックスを消化できない。そうして残された蜜蝋を、小鳥がぱくぱく食べるというわけだ。

