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米ドルも日本円も中国語では「元」と呼ぶ理由 16世紀のドル銀貨からひもとく漢字と日本語の知られざる歴史

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各国の紙幣
なぜ中国語では米ドルや日本円をすべて「元」と表記するのか(写真:freeangle/PIXT)
  • 岡本 隆司 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

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円安で関心が高まる各国通貨。なぜ中国語では米ドルや日本円をすべて「元」と表記するのか。『アステイオン104』特集「漢字・漢語・漢文――文明から考える」編集を担当した中国近代史研究者の岡本隆司氏が、身近な通貨の来歴からグローバルに広がる漢字文化の歩み、そして現代の日本語が抱える課題まで、知られざる漢字・漢語の世界を読み解く。

ドル銀貨から始まった「円」と「元」の歴史

円安が続いている。為替レート変動の問題は、海外旅行ばかりではなく、国内の物価にも大きな影響を及ぼし、日常生活にも直結するから、世上の関心も高い。各国の通貨にも注目が集まる。

日本円はもとより米ドル・人民元など、すぐ念頭に浮かぶものもあれば、なじみのない国の通貨もあって、種々さまざま。日本語の表記は各々カタカナ・漢字交えて、すぐ区別もつく。

ところが筆者の専門では、必ずしもそうはいかない。中国語だと「美元」「欧元」「日元」。なんだこりゃ、と、当初とても面食らった。中国ならすべて漢字はあたりまえながら、ずいぶん紛らわしい。

少し考えて、少し腑に落ちた。それぞれ米ドル・ユーロ・日本円。各々の一文字目が国を指し、それぞれ中国通貨の単位「元」になぞらえたと解すれば、確かにまちがいではない。

「ドル」とは、もともと16世紀の大航海時代、スペインがアメリカ大陸産出の銀で作った円(まる)いコインのことである。このドル銀貨が世界中で流通して、東アジア漢語圏では円形なので「圓」と表記した。近代以後もその流通が続いて、北米でアメリカドルになったこの「圓」が、日中ともども通貨単位に定まってゆく。

いま日本は「圓」の略字「円Yen」、中国では「圓」の同音で画数の少ない「元Yuan」と表記するものの、もとは同じドル・「圓」だった。そんな来歴があるなら、現代漢語で一律に「元」というのも、筋が通っている。

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【漢字導入が日本語にもたらした文明化と葛藤】

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