ドル銀貨から始まった「円」と「元」の歴史
円安が続いている。為替レート変動の問題は、海外旅行ばかりではなく、国内の物価にも大きな影響を及ぼし、日常生活にも直結するから、世上の関心も高い。各国の通貨にも注目が集まる。
日本円はもとより米ドル・人民元など、すぐ念頭に浮かぶものもあれば、なじみのない国の通貨もあって、種々さまざま。日本語の表記は各々カタカナ・漢字交えて、すぐ区別もつく。
ところが筆者の専門では、必ずしもそうはいかない。中国語だと「美元」「欧元」「日元」。なんだこりゃ、と、当初とても面食らった。中国ならすべて漢字はあたりまえながら、ずいぶん紛らわしい。
少し考えて、少し腑に落ちた。それぞれ米ドル・ユーロ・日本円。各々の一文字目が国を指し、それぞれ中国通貨の単位「元」になぞらえたと解すれば、確かにまちがいではない。
「ドル」とは、もともと16世紀の大航海時代、スペインがアメリカ大陸産出の銀で作った円(まる)いコインのことである。このドル銀貨が世界中で流通して、東アジア漢語圏では円形なので「圓」と表記した。近代以後もその流通が続いて、北米でアメリカドルになったこの「圓」が、日中ともども通貨単位に定まってゆく。
いま日本は「圓」の略字「円Yen」、中国では「圓」の同音で画数の少ない「元Yuan」と表記するものの、もとは同じドル・「圓」だった。そんな来歴があるなら、現代漢語で一律に「元」というのも、筋が通っている。
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【漢字導入が日本語にもたらした文明化と葛藤】
