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学校の部活動、「吹奏楽部」より地域展開がしやすい?設置率9.7%の「合唱部」に期待してしまう深い理由

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合唱部の練習の様子
合唱は音程を確認するチューナーなどがあれば、子どもたちは身一つで集まり活動できる(写真:amadank / PIXTA)
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加えて、地域認定クラブ活動は部活動と連携するものなので、「中学生が正確に理解できる用語を使用することが大切」と戸ノ下氏は指摘する。学校教育でどんな音楽用語がどう使われているか、把握したうえで指導することも必要なのだ。

こうした課題を踏まえ、合唱連盟では25年6月と26年3月に「ビギナー指導者のための講習会」と25年6月に「音楽系地域クラブ活動の実践事例研究セミナー」を実施した。

「政策に先駆けて動き、連盟として方向性を示す意味もありますが、現場や連盟の全国事務局長会議などの『先行事例を知りたい』というニーズに応えるという意味もあります。ただ、地域によって取り組みも事情も異なるため、『これが正しい形です』と言うことはできません。各地でどんな取り組みが行われているのか、どんな点を改善すべきかを共有しています」

「先行事例を知りたい」というニーズの裏には、地方の危機感があると戸ノ下氏は見ている。

「少子化と地域崩壊が進む状況でも中学生が文化芸術に親しめる機会をなんとか確保しようという人々の悲鳴に近い危機感が伝わってきます。部活動の地域展開は、地域活性化と人口減という社会問題に直結しており、その地域の課題が見えてきます。だからこそ、先行事例を紹介したり、その地域に見合ったスキームをどう作るべきかというヒントを提示する必要があると考えています」

戸ノ下達也(とのした たつや)一般社団法人全日本合唱連盟理事/立命館大学産業社会学部卒。研究課題は近現代日本の社会と音楽文化・文化政策の考察。都留文科大学非常勤講師、日本大学文理学部人文科学研究所研究員、一般社団法人日本音楽著作権協会理事、洋楽文化史研究会会長など歴任。著書に『戦時下日本の娯楽政策―文化・芸術の動員を問う』(青弓社、2023年)、『「国民歌」を唱和した時代-昭和の大衆歌謡』(吉川弘文館、2010年)、『音楽を動員せよ-統制と娯楽の十五年戦争』(青弓社、2008年)共編著に『日本の合唱史』(青弓社、2011年)などがある(写真:本人提供)

合同合唱団がコンクールに出場する例も

合唱部には、日頃の成果を披露する場として合唱コンクールがある。運動部では、地域移行の動きとともにスポーツ少年団や民間クラブの大会参加を認める動きが広がってきたが、当初は現場の混乱や反発があった。

合唱コンクールへの地域クラブの参加状況はどうなのか。世代を超えて活動しやすい合唱だけに、今後は大人と混合の合唱団も考えられる。

「すでに中学生の合同合唱団が参加している例があります。合唱は、世代ごとに“声の質”があり、これまではその世代の子たちが競い合うのを支えるのがコンクールの役割でした。ですから、今後も参加資格として校種別は残るでしょう。

例えば、全日本合唱コンクールは小学生・中学生・高等学校・大学職場一般の各部門に分かれていますが、大人とジュニアの合同合唱団となると一般部門で参加することになります。ただ、少子化を見据えて、U15やU18といった年齢層の区分を検討するなど今後は考えていかないとならないでしょう」

これからも中学生に文化芸術活動に親しんでもらうにはどうしたらよいのか。合唱連盟では中学生の地域合唱クラブ活動に関するガイドラインも策定し、公式サイトで公開している。

子どもの体験格差の広がりが指摘される今、授業以外でも芸術や音楽に触れ、実際に体験する場を守る動きは静かに、しかし確実に広がりつつあるようだ。

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