書き上げた遺言書は、本人が法務局の遺言書保管官の前で全文読み上げる必要があるが、条件付きでリモートでの実施が認められる見込みである。こうした内容を見る限り、遺言を遺す側にとって、負担はかなり軽減されるものと思われる。
ただし原稿執筆時点の26年5月において、デジタル遺言制度に関する法律は国会で成立・施行されていない点には注意が必要だ。とはいえ遺言のデジタル化は、制度化に向けて具体的に進み始めている。
デジタル化で危惧される「なりすまし」
一方、デジタル化には課題がつきものだ。デジタル遺言における課題を一言でいえば、「本人性の証明」である。
まず前提として、現行の自筆証書遺言がなぜ「手書き」を求めているのか。それは、自筆の遺言書は筆跡鑑定が可能となり、偽造を見分けやすいという利点があるからだ。
デジタル遺言はPCやスマホで入力したテキストデータも許容される方向で検討が進んでいる。電子テキストには筆跡がないため、偽造を見破るための課題が浮上する。
デジタル化に伴う課題はこれだけではない。まずは「身内によるなりすまし」である。遺言をめぐるトラブルは、見知らぬ第三者よりも親族間で起きることが多い。
