「最初から全員のために設計する」という姿勢は、AI時代の英語学習論ともまっすぐ接続する。情報伝達の効率ではなく、目の前にいる人と関係を築くために言葉を学ぶ。その思想が、プロダクトの一貫性を支えている。
日本と韓国で違う"親の願い"
教育観と企業文化を踏まえたうえで、Enumaが日本市場で直面したのは、同じアジア圏でも親が抱える願いが大きく異なるという現実だった。
象徴的なのが価格戦略の転換である。2021年10月、日本でのサービス開始当初の価格は、韓国市場を基準にやや高めの月額2500円に設定されていた。韓国において子どもの英語教育は事実上必須とされており、教育投資額は日本のおよそ3倍にものぼるという。
一方、当時の日本では「英語アプリは無料でアルファベットを学ぶもの」というイメージが根強く、月額2500円は保護者にとって相当に高いハードルだった。リリースから3〜6カ月の期間、市場の声を丁寧に拾い上げた結果、Enumaは「ハードルを下げて多くの人に使ってもらい、ファンになってもらう」戦略へと舵を切る。月額1400円への大幅な値下げである。製品への自信があったからこその決断であり、グローバル展開に精通したアメリカ本社もすんなり同意したという。
ローカライズは価格にとどまらない。日本のユーザーからは、利用年齢層が韓国より低かったこともあり、リアルな人間の怒った表情やリアルなライオンの写真に泣いてしまうといった、繊細な声が届いた。日本版ではこれを受け、イラストを柔らかくマイルドに調整。子どもの感情に寄り添うチューニングが行われている。
さらに、韓国では1人1アカウントが基本のところ、日本では「1プランで2人まで使える」兄弟プランをデフォルトに据えた(3人プランも用意)。本社からの「少子化の日本で必要か」という問いに対しては、兄弟がいる家庭も多く、一人っ子でも親と一緒に楽しめると説得して実装にこぎつけたという。
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【これからの親の最も重要な役割】
