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とどのつまりは《息を吸っている。吐いている。その事実だけを観る》こと 脳の専門家が説く、負の感情の乗りこなし方

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抑えきれない「負の感情」をコントロールする方法を紹介します(写真:trickster*/PIXTA)
  • 菅原 道仁 脳神経外科医・菅原脳神経外科クリニック院長
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脳科学者のマシュー・リーバーマンらの研究では、感情に名前をつけると、興奮していた扁桃体の活動が鎮まり、前頭前野が働きやすくなることが報告されています。

感情に名前をつけることは、それを力ずくで抑え込むことではなく、脳の司令塔である前頭前野が「いま何が起きているのか」を把握し、過敏になっている扁桃体に対して「もう安全だ」と伝え直していく作業なのです。

「感情の正体」を正しく理解し、形を整える

これは、脳科学でいう「恐怖消去(Fear Extinction)」を応用した考え方です。恐怖消去とは、古い記憶を消し去るのではなく、新しい学習を重ねることで「もう過剰に怖がらなくていい」という状態へ導くプロセスを指します。

人間はこの仕組みを、感情に名前を与える「ラベリング」によって意図的に働かせることができます。湧き上がる感情そのものは消せませんが、丁寧に名を付け、安全信号を送り続けることで、脳の反応は少しずつ変わっていくのです。

感情に振り回されるのではなく、正体を正しく理解し、うまく形を整え、無理なく扱っていけるようになることが大切なのです。

感情を扱うといっても、最初から立派な語彙を並べる必要はありません。「しんどい」という一言でもかまいません。「ムカつく」「ざわざわする」といった生身の言葉でも十分です。

むしろ「うまく言えない」というもどかしさこそが重要な手がかりになります。

言葉が見つからないとき、私たちはつい「何も感じていない」と錯覚しがちです。けれど実際には、無感情なのではなく、言葉による翻訳が追いついていないだけなのかもしれません。

「何かはあるが、まだ名前にならない」――そう気づけるだけでも、変化への大きな前進です。

この「ラベリング」を習慣にするのは、決して難しいことではありません。たとえば朝・昼・晩の3回、今の状態を「なんとなく不安」「だるい」「少し安心」といった一言で書き出してみる。最初のうちはその程度で十分です。

もし余裕があれば、その強さを10段階で数値化してみましょう。さらに「何がきっかけだったか」を一言添えれば、感情はより明瞭な輪郭を持ち始めます。

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