こうした実態を踏まえ、まずは年度当初の多忙感解消に向けて、副校長間の協力体制の構築に着手する運びになった。
同会は、月に1度の定例的な会合が中心だった。しかし、学校現場で起きる問題の多くは突発的であるがゆえに、月に1度の集まりでは、今すぐほかの副校長の意見を聞きたいという事態に対応できないことが課題だったという。
そこで、港区の既存システムである「Microsoft Teams」を活用し、全19校の副校長が即座に情報をやり取りできるチャットグループを立ち上げた。これにより、各校に1人しかいない副校長たちが、物理的な距離を越えて組織的に支え合う基盤が整ったという。
「1人職」の孤立を解消、人材確保にも効果
この取り組みは、大きな効果を発揮した。全国学力・学習状況調査の際のチェック項目のリマインドや、新1年生のGoogleアカウントの発行時の対処法の相談など、実務に直結するやり取りが週に数回の頻度で飛び交っているという。
「副校長は基本的に1校に1人だけの『1人職』なので、副校長同士で情報のやり取りができないと孤立しかねません。その点、困った時にチャットで質問を投げると、その解決策を知っている先生が『こうすればできますよ』と教えてくれる。周りの協力が得られるという実感が、精神的な支えになっています」
特に大きな成果を上げたのが、従来は副校長個人の人脈に頼らざるを得ない面が強かった、講師の人材情報の共有だ。
「今までは個人的に親しくしている人にしか聞けなかった『こういう人材を探しているのだけど適任者はいないだろうか』ということが、チャットに投げておけば副校長会全体に共有できるようになりました。実際に、チャットでのやり取りをきっかけに、他校の講師だった方を採用できた事例も生まれています」
