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1970年の東京。国際結婚がまだ珍しかった時代に、スペイン人と結婚するために、その日初めて会った「代理人」と指輪を交わした日本人女性がいる。
父に勘当され、友人たちが工面した渡航費を手に海外へ渡った山内政子さん(82歳)。「あんな結婚、2日も持たない」と言われながらも、夫とは50年連れ添った。
夫を亡くして6年経った今も、政子さんの胸には、彼に返せなかった“ある言葉”が残っている――。
見知らぬ男との結婚式
1970年8月30日、東京・四ツ谷の聖イグナチオ教会に、26歳の政子さんの姿があった。
ピンクのウェディングドレスを着た政子さん。その隣には、“代理人”の男性が立っていた。後ろの席には、その男性の妻と2歳の娘が座っている。
指輪交換――。政子さんの薬指に指輪をはめた相手は、その日初めて会った男性だった。
「今思うと、本当にあり得ない話ね……」
政子さんは、笑いながら当時を振り返る。
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【本人不在のまま妻に】
