東洋経済オンラインとは
ライフ #国際結婚、そのあとで

26歳で初対面の男と挙式し…勘当されても"国際結婚"した《82歳女性》の"激動の50年" 離婚も考えた夫を看取った理由は

9分で読める
山内政子さん
スペイン人の夫と結婚した山内政子さん(82歳)に話を聞いた(写真:筆者撮影)
2/8 PAGES
3/8 PAGES
4/8 PAGES
5/8 PAGES
6/8 PAGES
7/8 PAGES

政子さんの人生は、まるでおとぎ話のように聞こえる。だが時折、その奥に小さな影がのぞく。

60代になった頃、政子さんは一度だけ、夫に離婚を切り出したことがある。

「嫌いになったわけじゃないの。ただ、お互い自由に生きたほうがいいんじゃないかと思ったの」

だが、夫は首を縦に振らなかった。

「いろいろあったわ」

政子さんはそう言って笑ったが、その先は語らなかった。

結婚当初は、「あんな結婚、2日も持たない」と言う人さえいた。しかしふたりは、50年連れ添った。政子さんは最後まで、夫を悪く言うことはなかった。

何も言えなかった後悔

夫との思い出が残る散歩道(写真:筆者撮影)

20年10月、コロナ禍のまっただ中、夫は入院先で感染し、そのまま亡くなった。

その日は、長女の誕生日だった。長女と孫たちが泊まりに来ていて、夜11時半ごろ、そろそろ寝ようかと思ったときに電話が鳴った。相手は、夫の担当医だった。

「……残念です。亡くなりました」

政子さんはとっさに、電話を切ってしまった。隣にいた長女が、代わりにかけ直したという。

コロナ禍で病院への出入りが制限され、最期を看取ることはできなかった。それでも政子さんの胸には、入院中に夫が遺した言葉が今も残っている。

「もうすぐ逝くと思う。だけど心配しないで。寂しかったら、いつものベンチにおいで、僕も行くから。人生で最高だったのは、お前に出会えたことだよ」

次ページが続きます:
【何も言えなかった】

8/8 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象