稽古が終わると空気はふわっと和らぎ、親方や力士にも笑顔が浮かぶ。ヨーロッパから一家で日本に旅行に来たという見学者は力士と記念撮影をしたり、親方と談笑しながら稽古の感想を伝えていた。この日の見学者は取材班を含めて10人だったが、多い時は30人くらいが見に来ることもあるそうだ。
稽古は日々決まったメニューを行い、見学が入るからと特別なことはしないという。稽古中は力士に向けた親方の力強い声かけが印象的だった。
「稽古で大事にしているのは、力士を頑張らせること。頑張りの度合いは人それぞれですが、気合を入れたり、なぐさめたり、バランスを見ながらその子が持つ最大限の力を引き出すのが私の仕事。個性をつぶさないように気をつけています」と押尾川親方。
力士が一生懸命、稽古に励む姿を見ていると、こちらも元気や勇気がわいてくる。すべての相撲部屋が稽古見学を行っているわけではない中、こうした貴重な体験ができるのは入居者にとっても大きな財産になると感じた。
クリエイティブハウス文花ができた経緯
そもそも、どういう経緯でクリエイティブハウス文花はできたのだろうか。
押尾川親方は2022年に尾車部屋から独立して17年ぶりに押尾川部屋を再興することとなり、物件を探していた。相撲部屋は稽古場を備えた親方と力士の住居である。
「立地は聖地・両国国技館のある墨田区にこだわりました。墨田区内で土地建物を探しましたが、なかなか見つからずに難儀しました」(押尾川親方)
そんなとき、相談していた地元の信用金庫の紹介で墨田区文花、京島エリアの不動産管理を行うエイゼンの片桐拓弥社長と出会う。
