エイゼンは1924年創業の地元に根付く老舗企業。関東大震災の直後、新潟から来た大工衆「越後三人男」の一人であった創業者が、住宅を失った被災者のため京島地区に長屋を建てたことが設立のきっかけだった。その後、建てた長屋を所有して貸し出す不動産管理事業がメインの会社として成長。創業者のひ孫で4代目となる片桐社長は語る。
「弊社は墨田区京島、文花のエリアを中心に土地建物を複数所有しています。親方が物件を探していると聞いたとき、ちょうど老朽化で建て替えを検討していた築100年の長屋があったんです。そこなら相撲部屋を建てるのに立地や広さが適していると話がまとまって、弊社で長屋を建て替えて親方に貸し出すということになりました」(片桐社長)
力士と大学生がふれあう機会を作れたら面白い
当初は相撲部屋のみの3階建てという計画だったが、この地域の建蔽率、容積率、高さ制限などを調べたところ6階まで建てられるとわかった。また徒歩2分ほどの距離にある小学校・中学校跡地に「iU情報経営イノベーション専門職大学」と「千葉大学墨田サテライトキャンパス」が開校したため、賃貸にすれば学生ニーズが見込めた。そこで6階建ての下層部は相撲部屋、上層階は単身者向けの賃貸物件にした複合型マンションにすることに。
一見、力士と学生はかけ離れた存在に感じるが、押尾川親方にはこんな狙いがあった。
「親元を離れて住み込みで入門してくる若い力士は、どうしても人との交友範囲が狭くなりがちです。そんな力士と年齢の近い大学生が同じ建物に住んでふれあうことで、いい影響があったら面白いと思いました」(押尾川親方)
どのようなよい効果があったのだろうか。後編では賃貸の中の様子、暮らしをみてみます。
部屋の中はどうなっている?写真たっぷりでお届けします→後編:『1階に土俵、力士も生活 「相撲部屋付き賃貸」が常に満室のワケ 「朝稽古の音が目覚まし代わり」「ちゃんこ会」「ジムで力士に遭遇!?」』
