力士たちは大きく足を上げて四股を踏み、深く腰を落としてすり足で進むなど相撲の基本運動を黙々と繰り返す。力士の息遣いが聞こえてくるほどの近距離。親方は力士一人ひとりの動きをよく見て、「できなくてもいいからやってみることが大事」などと指導を行う。緊張感のある雰囲気で、見ている側も背筋が伸びる。
響き渡る叱咤激励
基本運動で力士たちの肌に汗がにじんできた。次いで、受け手の力士に向かって攻め手の力士がぶつかっていく「ぶつかり稽古」に移ると一気にヒートアップ。体当たりするバチーン!という音が稽古場に響き渡り、力士の闘志をかきたてるように親方が「どんどんぶつかっていけよ!」「持っている力を出せるだけ出せ!」など叱咤激励を飛ばす。
攻め手は受け手の先輩力士にかわされてもあきらめずにぶつかり、押し勝とうとする。受け手の胸が真っ赤になるまで粘り強く、何度も立ち向かっていく力士の姿に胸が熱くなる。
続いて取組形式の稽古が始まると、稽古場はさらに熱を帯びていく。土俵外に投げ出された力士が見学者の目の前に倒れこんできたり、まさに真剣勝負で気迫がすさまじい。中でも、十両の風賢央関が二十番連続でさまざまな相手と取組を行い、力強い押し相撲で次々と倒していく様は圧巻だった。
力士の底知れぬパワーとスタミナに驚いていると、この日の稽古は大詰めに。四股踏みと股割りで身体を整え、黙想をして2時間の稽古が終了。筆者は初めての相撲稽古見学だったが、目の前の力士にくぎ付けになっているうちにあっという間に時間が過ぎていた。
