東南アジアの鉄道地図が今、各地で塗り替わりつつある。すでに高速鉄道が開業したインドネシアや整備が進むタイなどの影に隠れがちだが、実はその中心的存在はマレーシアだ。
マレーシアの鉄道といえば、南国をのんびり走り旅情を誘う「マレー鉄道」のイメージとともに、実用的な交通機関としては「遅い」「古い」=「都市間の移動はバスかLCC」という印象がつきまとってきた。
実際に、国内の長距離輸送に占める鉄道の存在感は限定的だった。マレー半島の鉄道は旧態依然としたローカル線のように思っている人も少なくないのではないだろうか。
3つの大型鉄道プロジェクト
だが、その状況は変わりつつある。
2025年にはマレー半島南部の電化・複線化が完了し、国内の南北を結ぶ幹線は全線が電化され、新型の特急電車「ETS3」が登場。半島南端のジョホール・バルから海峡を越えてシンガポールとを結ぶ新路線「RTSリンク」と、半島を横断して南シナ海とマラッカ海峡をつなぐ新線・東海岸鉄道(ECRL)も2027年に開業の予定だ。
この3つは別々のプロジェクトに見えるが、その実態は「国内鉄道の高速化」「国境を跨ぐ越境通勤のシャトル化」「新たな物流軸の形成」という国家規模の大再編だ。マレーシアの鉄道は単なる世代交代を超えた大きな変化の時期に差しかかっている。
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【南北縦断路線を走る特急電車「ETS」】
