ゲームの結果は注文履歴に「290ツンデレゾロ目 ¥0」「290寄り添い偶数 ¥159」として記録されていた。盛り上がりながら次のドリンクを注文する。この体験は計算通りに機能した。
ドリンク単価設計のもう一つの仕掛けが「無限ミッション」だ。月間5万杯達成なら翌月も平日限定税込319円を継続、達成できなければ終了、という条件設計になっている。全国の来店客全員が「達成者」になる構造だ。
4月はこのミッションをクリアし、5月も継続が決定した。達成をSNSで告知する仕組みが、自然な口コミを生む。「自分も5万杯のうちの1杯だった」という参加感が、SNS投稿の動機になる。
五つの仕掛けは一本の線でつながっている
一度来店した客を次回につなぐ仕掛けも、店内に三つ組み込まれている。まず「チェックインQR」卓上の二次元バーコードをグループ全員で読み取ると、串カツ1本が当たる抽選ゲームがアプリ上で起動する。全員参加を促す設計が、グループでの来店体験を強化する。
次に「飲みPass(田中で飲みPass)」。通常版は1枚550円(税込605円)で1カ月間有効、対象ドリンク(税込550円以下)が1杯250円(税込275円)になる。3杯で元が取れる計算で、購入した客は「元を取りに来る」動機が生まれる。さらに飲みPass適用時のチンチロはより有利な条件になると明示されており、リピーターほどゲームが楽しくなる設計だ。
「55円で呼び込み、専用サワーでドリンク単価を上げ、チンチロで滞在させ、ミッションで口コミを作り、パスと抽選で再来店させる」。五つの仕掛けが一本の線でつながっている。
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【収益構造ごと底上げする「55円の串」】
