東京電力福島第一原子力発電所の巨大事故から15年を数える2026年、一時はすべてが稼働停止となった国内の原発だが、15基が再稼働のプロセスを経るに至っている。地球温暖化対策として、二酸化炭素排出の約3割を占める発電部門のGX(グリーントランスフォーメーション)は今も求められており、発電時に二酸化炭素を排出しない原子力発電は国内外で進められている。
26年2月末に始まったアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃と、その後に続いたホルムズ海峡の封鎖は、天然ガス火力発電の将来の不確実性を改めて示しており、エネルギー安全保障の観点から中東に依存しない原子力への志向は以前に増して強まっている。
高まる原子力志向
これらのエネルギーの選択は、主として国が主導する形で進められるのが常であったが、近年、これとは異なる、しかし国に相当するような強さで進められる事例が生じている。AIデータセンターの出現である。
AIデータセンターは従来のデータセンターと異なり、はるかに多くの電力を消費する。サーバー用のデータセンターが10メガワット程度の設備容量であったものが、AmazonやGoogle、Microsoftなどの大規模拠点では100メガワットとなり、生成AIに至っては1ギガワットの規模となっている。1ギガワットは、日本の標準的な100万キロワットの原発1基分の設備容量である。
この膨大な電力を、彼らは原子力によって自前で賄おうとしている。23年、OpenAIはSMR(小型モジュール炉)を開発する「Oklo」を支援している。24年、Amazonはペンシルベニア州のサスケハナ原子力発電所に隣接するデータセンター・キャンパスを6億5000万ドル(約1000億円)で購入した。24年、Microsoftは1979年に事故を起こしたスリーマイル島原発のうち、事故を起こしていない1号機を再稼働させるため、20年間の売電契約を締結した。
25年、Googleはアイオワ州にあるデュアン・アーノルド原子力発電所の再稼働を支援するための25年間の売電契約を結んだ。このようにテック企業が原発を選択するのは、再生可能エネルギーと蓄電池を用いる方式に比べて、はるかに安定した電力を得られるためである。
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【原発のサプライチェーンが抱える問題】
