なお、軽水炉の小型化は近年の技術の進展によってもたらされたわけではなく、歴史的に見ればもともと低出力から開発され、次第に大型化されてきている。これは軽水炉に特有の燃料棒の製造と、その定期的な交換の必要性に伴う経済性の低下を規模の経済により補おうとしてきたからだ。
この燃料棒の交換はNuScaleのような小型軽水炉でも踏襲されている。炉の構造は圧力容器と熱交換器を1つの容器に格納するなど小型化の最適化を目指してはいるものの、小型炉としての経済性が向上しうるかは実際の運用による検証が必要だろう。
使用済み核燃料というボトルネック
Okloのような高速炉であれ、NuScaleのような軽水炉であれ、最終的に生み出されるものは使用済み核燃料だ。原子力に限らず、電力などの便益を得た後に残るもの、それは火力発電であれば二酸化炭素になるが、それへの対応が進まなければその上流の流れが阻害されてしまう。原子力発電の使用済み核燃料がそれである。
原子力発電は現在31カ国で稼働しており、世界の発電量に占める割合は約10%だ。しかしその最終処分場の稼働が見込まれているのはフィンランドにあるオンカロのみである。
使用済み核燃料は、再処理をしてプルトニウムを利用する場合と再処理をせずそのまま処分される2つのケースがある。いずれの場合も、再処理または最終処分の前段階として、原子炉から取り出されていったん保管する必要がある。日本の場合、使用済み核燃料貯蔵プールの貯蔵率は約8割に達している。このプールが満杯になると、原発は稼働できない。
使用済み核燃料の最終処分のメドが立たないのは、大きく2つの要因による。1つは放射能の影響が100万年単位で残ること、もう1つは核兵器への転用が疑われかねないプルトニウムの存在である。
前者に関しては、比較的短寿命の核種もあるが、上述のウラン燃料サイクルでは、マイナーアクチニド(MA)などの長寿命核種が多く生成される。後者に関しては、ウラン燃料の大半を占めるウラン238から必然的にプルトニウムが生成される。
というよりも、プルトニウムの生産がウラン燃料サイクルの目的の1つでもあり、これが核燃料の増殖である。このようなサプライチェーン上のボトルネックを解決しなければ、原子力の利用拡大を希求しても、その実現は早晩行き詰まるだろう。
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【トリウムの利点は?】
