「現代人は一日中パソコンの前に張りつき、その生活に支配されている。そしてこう思うのです。『とにかく運動さえすればいいんだ。ジムで45分、思いきり運動しよう』」と、脊椎の健康とフィットネスの専門家であるマクギル博士は言う。「これは強度と負荷の面で問題があります――生物学的な限界点を越えてしまうのです」。
彼の研究によれば、一日中座ったまま過ごしながら、いきなりジムで激しく体を追い込むほうが、ただソファで過ごすだけの人よりも腰の機能障害を起こしやすいという。「運動している人のほうが腰を痛めやすいなんて、不公平ですよね」と彼は言う。
「それよりはるかに健康的なのは、1日を通して軽い動きをこまめに取り入れることです」とマクギルは言う。
軽い動作を取り入れ、重いものを運ぶ
その軽い動きとは、身体が本来できる動きを幅広く行うこと――たとえば、しゃがむ、足を踏み出す、体幹を支える姿勢を保つ、股関節で上半身を前に倒す、ぶら下がる、ひねる、運ぶ、曲げる、といった動作だ。
ライクレンの研究も、椅子にもたれかかって座るより、しゃがむ姿勢や膝立ちで休むほうが健康に良いことを裏付けている。
あるいは、日常生活に運ぶ動作を取り入れること。ラックを背負う「ラッキング」は、腰痛を悪化させないどころか、予防にも役立つ。重さがデスクワーカーにありがちな前かがみの姿勢を矯正し、体幹と臀部の筋肉をしっかり使わせるからだ。
座りすぎによって特に弱くなりやすいこの2つの筋肉こそ、腰痛に対する最強の防御だと、クリーブランド・クリニックとボーマンは指摘する。
マクギルは、物を運ぶ動作が背骨を支える筋肉を安定させ、自然と背筋を伸ばした姿勢をつくると説明する。
たとえば彼は、片側に重りを持ち、体幹を垂直に保ったまま歩く「スーツケース・キャリー」という運動〔訳注 片手にダンベルなどの重りを持ち、体幹をまっすぐに保ったまま歩くトレーニング〕をリハビリに取り入れた。その結果、チャンピオン級パワーリフターの不調を抱えた背骨を立て直すことができた。
「これは本当に素晴らしい運動です」と彼は言う。しかも、いつでも実践できるのだから。
(翻訳:須川綾子)


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