だからこそ現代の私たちは、自分自身によって滅ぼされつつある、とサポルスキーは言う。何を、いつ、なぜ、誰と比べて達成すべきかという物語を自分の頭のなかでつくりあげ、それに追われているのだ。
慢性的なストレスによるコルチゾールのじわじわとした分泌は、多くの人に報酬としての食欲を引き起こすだけでなく、自制心をむしばんでいく。
この組み合わせは「肥満を招く極めて強力な因子」を生じさせる、とポテンツァは指摘する。なぜなら、「食べ物は短期的な快楽と不快の解消をもたらす手軽な手段だからである」。
ある研究では、肥満傾向のある人はストレスに直面したとき、標準体重の人より食べる行動に向かう傾向が強いことが指摘されている。また別の研究では、肥満傾向の人は空腹でないときでもより強い食欲を感じ、ジャンクフードを多く摂取していた。
ポテンツァは自身の論文でこう書いている。「食べ物には報酬としての性質があるため、嗜好性の極めて高い食品は、望ましくないストレスから気をそらす自己治療的なコンフォートフードとして機能している可能性がある」
ジャンクフードという精神安定剤
超加工食品は、安くてどこでも買える市販の精神安定剤のようなものだ。だが錠剤と同じで、効果が切れたときストレスはそのまま残っている。そうなると、再び薬を飲まなくてはならない。つまり、さらにジャンクフードに手を伸ばさずにはいられない。
その副作用は? 体重増加、心臓病、脳卒中、がん、高血圧、高LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、2型糖尿病、疲労、うつ病、変形性関節症、慢性痛、早死など、挙げればきりがない。
さらにポテンツァによれば、ストレスによる飲食は、食事制限を伴う流行のダイエットがほとんど失敗する理由にもなっている。


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