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「適度なストレスが心身ともに健やかな状態をもたらす」という「タフニング理論」を科学的に裏付けた実験

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ロッククライミング中の女性
押しつぶされない程度の適度な困難に向き合うことで、強さと逆境への耐性が高まります(写真:Peopleimages/PIXTA)

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暖かい部屋で一日中座ったままで過ごし、空腹を感じればコンビニで手軽に食べ物を買い求め、退屈を感じればスマホに手を伸ばすだけ。そんな便利で快適な生活を送る現代人は、私たちの祖先よりも不健康で不幸だという。
今回、ネバダ大学の教授が、「不快さ」や「不便さ」が私たちの健康を向上させ、人生を豊かなものにすると説く『快適さの罠:私たちの祖先が経験した「不快さ」が人生を充実させる』より、一部抜粋・編集のうえ、お届けする。

よく聞く言い回しは本当なのか

『快適さの罠:私たちの祖先が経験した「不快さ」が人生を充実させる』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

マーク・シーリー博士は、人間のコンフォートゾーンの限界を長年研究してきた心理学者だ。

ニューヨーク州立大学バッファロー校に所属する彼は、昔から「私たちは、つまずきや痛みを乗り越えるたびに強くなる」という、世間でよく口にされる決まり文句に強い関心を抱いていた。たしかに、こうした言い回しにはどこか真実味があるように思える。しかし、実際にそのとおりであることを裏付けるデータは存在しなかった。

「従来の研究では、つらい出来事や強いストレスにさらされると、それは例外なく悪い影響をもたらし、逆境や否定的な結果につながる、という単純な関係が示されていました。そうした出来事は後々まで影響を引きずり、そのために将来的な心理面や、場合によっては身体面の健康リスクまで高めてしまう――そんな暗い見通しだったのです」とシーリーは語る。

ところがある日、シーリーは「タフニング(toughening)」と呼ばれる概念を扱った研究に出会った。それは悲観的な見方に異を唱える理論だった。彼はこう説明する。

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