「人は人、自分は自分」という感覚がある。だから必要以上に自分の気持ちを表に出さないし、そもそも人の気持ちというものに介入しない、されない。「感情労働」といった言葉があるくらい上の世代は気持ちの一体感を大事にしますから、この点でのギャップは大きいかもしれませんね。
「無敵」な世代が生まれた背景
——なぜ、これほどまでに合理的で周囲に左右されない「無敵」な世代が生まれたのでしょうか。
まず、「無敵」といっても本当に強いわけではなく、むしろ心身ともに今の若者は弱くなってきたと指摘する人もいるくらいです。
ただ、そんなときはいつも上の世代の人が先んじて手当てしてくれますし、黙っていれば正解を教えてくれる。そんな様子から、僕が「なんて今の若者って無敵なの」と皮肉っている状態ですね。決して若者たち自身がこの状態を望んだわけではありません。
その背景には何があるのかというと、生産年齢人口の減少といった社会・経済環境の変化もありますが、最大の要因は彼らの親世代にあると考えています。
今の20代前半の親は平均すると50代前半になります。彼らはバブル崩壊後の「失われた35年」を社会人として生き抜き、リストラやフリーターの増加といったニュースを見聞きしながら子育てをしてきました。
上の世代から「お前の代わりはいくらでもいる」と厳しい扱いを受け、人口が多いがゆえの競争の中で我慢を強いられ、「組織からこぼれ落ちたら二度と戻れない」という強い危機感を抱いてきた世代です。
苦労はあっても報われることの少なかった親が、子どもには同じ思いをさせたくないと考えるのは自然なことです。わが子を失敗から遠ざけ、子どもが迷わないよう事前に正解を教え、先回りして障害を取り除いて徹底的に守ろうとする、それこそ親の愛情でしょう。
今の若者たちは大人たちからの「我慢しなくていい」「無理はしなくていい」という教えを忠実に守っているに過ぎません。だからこそ、先生や上司に嫌われても「自分は自分。周囲と合わなくてもしょうがない」「みんなに好かれる必要はない」と割り切れます。
誰かが悪かったわけではなく、みんながよかれと思ってやってきた結果、リスクを取らず、慎重で安定志向の無敵な世代が誕生したのです。
