INDEX
今、家電量販店や雑貨店のキッチンコーナーで異彩を放つヒット商品がある。2023年2月に発売された、「récolte(レコルト)」の「自動調理ポット」だ。材料を入れてボタンを押すだけで、刻む、加熱する、攪拌(かくはん)する工程をほぼ全自動で行い、約30分で本格的なポタージュやスープが完成する。
発売から約3年で、累計出荷台数は50万台を突破。26年3月には、待望の大容量モデル「ラージ」も投入したが、発売前に予約完売。現在も品薄の状態が続いている。
シャープの「ホットクック」など、多機能の自動調理鍋がリードする市場で、なぜ後発かつ用途を絞ったレコルトが人気なのか。その裏には、緻密な「引き算」の戦略と、現代のスープ需要の高まりがあった。調理家電ブランド「レコルト」を展開するウィナーズの岡野真二社長を取材した。
コンパクト家電にこだわり抜き、失敗を糧に短いスパンで改良
ウィナーズは、従業員わずか50名足らずの小さな組織で、製造工場も持たない。これまで「コンパクト家電」を軸に、小さなブレンダーや、ゆで卵を1個作れる「エッグスチーマー」など、単身者向けのニッチな商品を展開してきた。
「ブランド設立当初は『コンパクト』を売りに、雑貨感覚で手に取れる家電を多数作ってきました。電気ケトルも、当時は1Lサイズが主流の中で、我々は500ccのモデルを出していたくらいです。今回発売したラージサイズの『自動調理ポット』は話題になりましたが、我々としては『こんなに大きいの、いるかね?』『大きすぎるんじゃないか』と考えていたんです。しかし、初回生産分があっという間に売り切れてしまい、ファミリー層からの需要に驚いています」(岡野氏、以下同)
次ページが続きます:
【スープ需要の高まりにかけた勝負】
