ある経験の意味が大きければ大きいほど、それに結びついた感情は長く続く。たいていの場合、悲しみは世界観やアイデンティティに影響する何かにかかわっており、それが、怒りよりも悲しみが長続きする理由の一つだ。怒りは通常、特定の何かにかかわるものだ。
高速道路で割り込んできた嫌な奴に対する怒りは忘れやすい。その感情は、あなたとはあまり関係のない束の間の何か、つまり、あなたの身にたまたま起こったことに向かっているからだ。
いっぽう、ペットを失った悲しみが長く続くのは、あなたの世界観が変わってしまうからだ。大好きな相棒と一緒に過ごす人生は、それがいない人生とはまるで異なっている。
とはいえ、怒りが深く激しい場合、たとえばそれが裏切りにかかわるものであるとすれば、それもまたあなたの世界観を変え、ちょっとした罪に対する怒りよりもずっと長く心に留まることがある。
感情がどれくらい注意を奪うかということも、重要な役割を果たす。われわれの感情的反応を引き起こす人が目の前にいると、そこに注意が奪われるため、感情は長く続く可能性が高い。まだ恋している相手と友達でいようと努力した経験のある人に聞いてみよう!
身体的反応をどう解釈するか
感情が持続する長さは、自分の経験をどう考えるかにも影響される。感情にまつわる出来事の中でも認識しやすい側面の一つ、つまり身体的反応を例に取ろう。感情を経験する際、われわれの身体は自分にもわかるほど激しく反応することが多い。それらの身体的サインをどう解釈するかが、経験そのものに影響を与える。
ある実験では、ストレスに対する生理的症状の解釈が、人びとの不安にどう影響するかが検証された。その結果、手のひらに汗をかいたり脈が速まったりするのは、身体が状況に適応している証拠だと解釈するよう優しく促された被験者は、症状に関する考え方について何の指導も受けなかった被験者とくらべ、ストレスのかかるスピーチをしたあとの回復速度が早まることがわかった。
感情は、人生のさまざまな状況に応じて生じるものであり、そこには多彩で精妙な変化が見られる。燃え上がってはすぐに消えてしまうものもあれば、頭から離れない歌のように何年も残るものもある。
感情がどれだけ持続するか、どれだけ強くなるかは、一つの要因だけで決まるわけではない。だが、実に素晴らしいニュースがある。感情の強さや持続時間をコントロールできないケースはたくさんあるが、コントロールできるケースも同じ数だけあるのだ。
(翻訳:鬼澤忍)
