100円ツナ缶の時代に「瓶詰めツナ」で勝負した理由、9割の人に反対されても "ギフト需要"に賭けた高級路線の勝算

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「店ではマグロをよく扱っていましたが、どうしても少し余ることがあるんです。通常は海鮮丼などにして賄いで食べるのですが、ある日、ふとツナを作ってみようと思いました。オリーブオイルでマグロをコンフィのように仕上げてみたところ、思いのほかおいしくできたんです。それがツナ研究の原点ですね」(関根さん)

当時はインターネットでレシピを調べながら試作を重ねたり、海外の商品を取り寄せて食べ比べたりするうちに、自分で作ったツナの方がおいしいのではないかという思いが芽生えた。料理人としての自負もあり、自ら作り上げたツナで勝負できるのではないかと考えるようになった。

ツナ缶市場ではなく「贈答用ツナ」を狙う

転機は40歳のときに訪れた。結婚して子どもが生まれ、生活の安定を考えなければならなくなった。飲食店は休みが少なく、保険などの保障も十分ではない。就職する選択肢も考えたが、関根さんが選んだのはツナ、それも缶詰ではなく瓶詰めだった。

ツナといえば缶詰が主流である。国内市場では、はごろもフーズやいなば食品、ホテイフーズなど大手メーカーが圧倒的なシェアを握り、スーパーやコンビニには数多くの商品が並んでいる。価格も手頃で、特売では1缶100円程度で購入することができる。

ツナ缶を庶民のものにしたのは、メーカー各社の企業努力によるものだ。しかし大量生産と価格競争の世界では、小規模なブランドが新規参入するのは難しいことを関根さんも理解していた。

関根仁さん
「TUNALABO」を運営する株式会社JINの代表取締役社長、関根仁さん(筆者撮影)

「ツナが嫌いな人はほとんどいませんし、誰でも知っています。逆に大手がやらない市場、つまり、贈答用の高級路線のツナであれば、十分に勝算があると思いました。瓶詰めにこだわった理由はもう一つ、中身が見えることです。美しい色合いをそのまま伝えることができますし、贈答品としての価値も高めることができます。話を聞いた9割の人から反対されましたが」(関根さん)

こうして2018年にツナの瓶詰め「おつな」の販売をスタートさせた。

しかし最初から順調だったわけではない。飲食店の厨房で作ったツナは保存性が低く、賞味期限はわずか1週間ほど。検査を重ねながら改良を続けたが、製造環境や衛生管理の知識不足にも直面した。

それでもメディアに取り上げられたことで徐々に注目が集まり、そこで得た資金をもとに製造体制を整える決断をした。

「TUNALABO」外観
「TUNALABO」外観(筆者撮影)
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