50代女性の「雇い止め」訴訟が問う非正規雇用の厳しい現実 —「次の誰かのために」闘った1年の歩みを追う

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Aさん
「陳述書を読むことがつらかった」と語るAさん。「雇い止め」に立ち向かった経緯とAさんの思いを取材しました(写真:筆者撮影)

2025年3月、一人の女性が「雇い止め」に遭いました。実質的には「解雇」に等しいものでした。

その女性、Aさん(50代)は、秋田県農協共済株式会社(秋田市)で非正規の嘱託職員として3年半働いてきました。雇用契約は1年更新でしたが、それまで契約は3回更新されており、会社側の対応からAさんは「頑張れば正社員になれる」と期待を抱いていました。

2025年4月、Aさんは雇い止めの取り消しを求めて秋田地方裁判所に労働審判と仮処分を申し立て、8月には訴訟を提起しました。Aさんにとって、人生初の「裁判」でした。

雇い止めからおよそ10カ月後の2026年2月、Aさんは、和解を勝ち取りました。

会社側はAさんの雇い止めが「無効」(違法)だったと認め、500万円の慰謝料を支払い、社長がAさんに直接謝罪し、さらに再発防止策を講じると約束したのです。大きな意味のある和解でした。

私は縁あってAさんの裁判闘争を取材してきました。和解後、Aさんが語った言葉があります。「自分が裁判を起こしたということが何かの形で残って、いま悩んでいる人の目に留まって『自分も闘おう』とか『会社は間違っているんだ、立ち上がろう』とか、何か少しでも誰かのヒントになればと思う」

次の誰かのために――というAさんの思いをつなぐため、雇い止めから和解まで1年の歩みをたどりたいと思います。

「頑張れば正社員になれると信じていた」

Aさんは2021年2月まで、秋田県内のホテルに正社員として勤務していました。しかし新型コロナウイルスによる経営悪化で給与遅延が続いたため、ホテルを退職。2021年9月、秋田県農協共済株式会社に非正規の嘱託社員として就職しました。

「5年頑張れば、正職員になれる」。就職後、会社側はAさんにそう伝えたといいます。

契約は1年目、2年目、3年目と3回更新され、Aさんは「頑張れば(雇用が継続される)」と期待していました。

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