50代女性の「雇い止め」訴訟が問う非正規雇用の厳しい現実 —「次の誰かのために」闘った1年の歩みを追う
500万円という解決金について、筆者は金額を伏せることも考えました。しかしAさんは、公開してほしい、と話しました。非正規労働者として雇い止めに遭い、裁判を起こし、会社側の謝罪や500万円という解決金に至った道のりを示したいと考えたからです。
「この金額だったから(和解を)のんだのではないかと言われることは、怖いです。
うがった見方をされるかもしれませんが、反対にいま雇い止めに苦しんでいる方もいると思うので『闘えば、これだけ会社が間違っているということを示していけるかもしれない』と思う人もいるんじゃないかと、そういうふうに考えました。
さらけ出せるところは全部開示して、批判する人もいるだろうけれど(記事に)出してもらいたいと」(Aさん)
雇い止めを「普通」のこととする空気
雇い止めを通告されたときから、Aさんはそれが「仕方のないこと」であるかのような世間の空気も感じてきました。
例えば、雇い止めは「会社都合」の退職ではないかと言ったAさんに対し、会社の人事担当は「契約は1年更新なのだから会社都合ではない」と返答したといいます。
また、雇い止めについて公的機関に相談に行った際、当初対応した職員は「そういうこと(雇い止め)はあります」「自分も雇い止めに遭った」と話し、「雇い止めは仕方のないこと」と相談をかわすような空気になったといいます。
一方、雇い止めは不当だという声も上がり始めました。
Aさんの裁判を知った秋田県農業協同組合労働組合(秋田農協労)が、雇い止めの撤回と復職を求めて社長あての署名運動を展開したのです。1月末、Aさんは虻川弁護士とともに、寄せられた164筆分の署名を会社側に届けました。
和解後の2月半ば、Aさんと虻川弁護士が秋田農協労の事務所へ報告に訪れました。
秋田農協労の中央書記長・中村晋太郎さんによると、Aさんの裁判闘争が始まってから他県の労働組合の仲間からも「実はうちでも雇い止めがあった」という声が聞こえるようになったといいます。




















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