50代女性の「雇い止め」訴訟が問う非正規雇用の厳しい現実 —「次の誰かのために」闘った1年の歩みを追う

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まず、Aさんは契約上「朝8時半始業の非正規労働者」でありながら、実際は「毎朝8時」には出勤していたといいます。

「細かい話ですけれど、朝来たら女性は(正規、非正規問わず)掃除などがあって、当番制だったのですが、私は朝8時ころから出勤することが多かったです。

(嘱託という)立場もあるので、勤務は8時半からなんですけども、早めのお客様に合わせるために8時半には準備が終わっていなければならないので、自分がやっていました。

(嘱託職員は)時間外労働は本来はやってはいけないんですけれども、そこは全く問題とされることはありませんでした。『やりたくない仕事はやらない』と言ったことはありません」(Aさん)

最後まで引き継ぎ書づくりに追われる

正社員とは異なる不安定な雇用環境に置かれながら、「気づかい」「働きぶり」は正社員並みを求められる。断ると「個人の感情で仕事を選ぶ」と指摘され、職すら失いかねない――。

会社側とAさんの主張から浮かび上がるのは、このような非正規雇用の置かれた現実ではないでしょうか。

「朝30分の早め出勤」は「時間外の無償労働」でした。そして朝の仕事は非正規のAさんが長く、一人でカバーしていたといいます。

「遅刻をしたくないという気持ちもありますし、(当時、女性職員のみが担っていた)職場の掃除や洗い物を早めにやってしまおうという感じでした。その後(異動で人が減ったこともあり)洗い物は各自でやってほしいと私が職場にお願いして、やってもらえるようになりました。

頼めばやってくれる方もいましたし『忙しいからやっておいたよ』と言ってくださる方もいました。(職場の水回りの仕事は)日々のことで、台所の三角コーナーを掃除するのも自分でしたし――1カ月ごとに女性たちが当番でやるのですが、なぜか自分が担うことが多かったです。

排水溝は結構ドロドロになっていて、それを見てしまったら、自分がやらざるを得ません。その後、新しい嘱託職員の男性がやってくださるようになって、後から入社した皆さんも協力してくれて、そういう環境があったので、私も仕事を頑張ることができていました」(Aさん)

雇い止めを言い渡されて以降は「引き継ぎ書」の作成に追われました。

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