50代女性の「雇い止め」訴訟が問う非正規雇用の厳しい現実 —「次の誰かのために」闘った1年の歩みを追う

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ところが2025年2月上旬、会社側から「人件費や光熱費等の高騰で3年後の収益が厳しくなる」ため、誰とは決めていないが嘱託社員を1人不更新にするかもしれない―と伝えられました。そして2月27日、会社側はAさんに対し「雇用契約を更新しない」と告げました。

雇い止めの理由について、会社側から渡された「契約不更新(雇止め)理由証明書」には〈人員の整理・見直しが必要であるため〉と記されていました。

「契約不更新(雇止め)理由証明書
Aさんが受け取った「契約不更新(雇止め)理由証明書」(写真:Aさん提供)

「弱い立場にあったので、何か起こるかもしれないと思ってはいました。でもまさか、更新しないというふうになるとは思いませんでした。1年契約なのだから実際にはそうならなかったのだと言われてしまえば、それまでなのかもしれない。けれどやっぱり、何もなければ働き続けられるという希望を持っていました」(Aさん)

Aさんは雇い止めを告げられたその足で、労働相談の窓口に向かいました。

労働審判を申し立て

Aさんから数回にわたり事情を聞き取った秋田労働局の相談員は2025年3月下旬、会社側に助言・指導を行いました。指導・助言は迅速性を重視し、口頭で行われたといいます。

労働局による助言・指導は「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」第4条に基づき、労働局長名で行われます。ただし中立の立場から問題点を指摘するもので、強制力はありません。秋田労働局による助言・指導後も、会社側はAさんの雇い止めについて再考することはありませんでした。

Aさんは4月、地元の虻川高範弁護士のもとを訪れました。労働事件に詳しく、行政訴訟なども手がけるベテランの弁護士です。Aさんは虻川弁護士と話し合い、秋田地方裁判所に労働審判を申し立てることにしました。併せて、雇用契約の権利と賃金の支払いを求める「仮処分」も秋田地裁に申請しました。

労働審判とは
解雇や給料の不払いなど労働者と事業主との労働関係のトラブルを解決するための手続きです。労働審判官(裁判官)1人と労働審判員2人でつくる労働審判委員会が行い、訴訟とは異なり非公開となります。
原則3回以内の期日で審理を終えるため、迅速な解決が期待できます。労使双方の話し合いがまとまると、調停が成立。まとまらない場合は労働審判委員会が判断(労働審判)を示します(最高裁ホームページ参照)
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