50代女性の「雇い止め」訴訟が問う非正規雇用の厳しい現実 —「次の誰かのために」闘った1年の歩みを追う
そして、第1回口頭弁論の2025年10月24日。秋田地裁の作原れい子裁判長は、被告(会社側)が人員整理の根拠に挙げた「中期経営計画」について「経営の予測にどの程度、合理性があるのかに(裁判所は)関心を持っている」「中期経営計画の成り立ち、数値設定がどういう根拠に基づくのか説明していただく必要がある」と述べ、Aさんの雇い止めに至った根拠となる客観的資料の提出を会社側に求めました。
10月27日には、労働審判と同時に申し立てていた「仮処分」の決定が下りました。
ここでも秋田地裁は、Aさんの申し立てをほぼ認め、会社側の主張を退けて「更新拒絶(雇い止め)は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認めることはできず、無効と言わざるを得ない」と結論づけました。
なお、被告会社(秋田県農協共済株式会社)に再三取材を申し入れましたが、一切お答えできないという返答でした。
「解決金で終わらせる和解にはしたくない」
Aさんの希望は、あくまでも「職場復帰」でした。しかし、第2回口頭弁論を終えた2025年12月半ば、裁判所が和解を提案しました。Aさんが復職した後の働きづらさなどを、考慮したのです。
Aさんは虻川弁護士と相談し、職場復帰がかなわなかった場合の和解案を考えました。それは、解決金(慰謝料)の支払いにとどまらず、会社側に雇い止めへの謝罪と検証、さらに再発防止策などを求めるものでした。「解決金で終わらせる和解にはしたくない」という思いからでした。
2026年2月4日、3度の交渉を経て、Aさんと会社側の和解が成立しました。その内容は、非常に意義のあるものでした。以下、和解の6つのポイントです。
和解条項のうち「社内への周知」の意義について、虻川弁護士は次のように話します。
「金銭で解決したというだけでは、今回の件は知られることなく『Aさんは辞めたんだな』と思われただけで終わってしまう。そうではなく、Aさんの雇い止めは間違ったことで、会社は謝罪をし、再発防止策も講ずるということを社内にきちんと公示する必要があります」。和解条項には、実際に社内に掲示する文面も明記されました。




















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