50代女性の「雇い止め」訴訟が問う非正規雇用の厳しい現実 —「次の誰かのために」闘った1年の歩みを追う
労働審判と仮処分の審理の過程で、Aさんはつらい思いをすることもありました。
雇い止めの理由について会社側は当初、Aさん自身の問題ではなく「人員整理の必要」を挙げていましたが、審理が進む中で、Aさんが「人間関係のトラブル」を多く起こしていたといった理由を挙げたからです。
陳述書で会社側は、Aさんの働きぶりについて「勤務時の業務量・業務成績については特段問題ありませんでした」としながらも、次のように記していました。
「(Aさんは)社内外問わずたびたびトラブルを起こしていて対応に苦慮することが多くあった」
「(特定の社員について)私語に費やす時間が多いと(Aさんが)責め立てた」
「(Aさんが)ことあるごとに(社員に)食って掛かり、無視したり高圧的な叱責等も見受けられた」
「(Aさんと特定の上司が)特別な関係性であることが社内でも頻繁に噂されていた」――。
ここに書かれていることは事実ではない、とAさんは語ります。
「本当にこれを見たときは、驚きと怒りと悲しみと、自分の心臓が止まるんじゃないかと思うくらい、読むのがつらかったです。なんでここまで、まったくの嘘ばかり書いて、これを信じる人がいるのだろうかと思いました。
弁護士さんからは『いろいろ書いてくると思う』と言われてはいたんですけれど、いざこうなってしまうと、本当に気持ちが萎えました。闘っていけるだろうかと。
私が職場で何かしてしまって、不満につながっていたのだとすれば、指導や面談をして『改善してほしい』と伝えてもらえたら私も改善のしようがあります。でもそのようなことは一切何もありませんでした。これ(陳述書)だけを見ていると、私という人間はそういう人間なんだと思われるかもしれません」
それは、自身の被害回復を求める場で「二次被害」に遭遇したに等しいことでした。
見えてきた非正規雇用の現実
なぜAさんを雇い止めの対象としたのか。その理由について会社側は、次のように主張していました。以下、陳述書の概略です。
〈始業開始前の会議室設営準備について、正社員がAさんに一緒にやろうと伝えた際、Aさんは「自分は(始業時間前の)8時半前や17時以降の仕事は(契約外なので)しない」と返答した。「時間内でもやりたくない仕事はやらない」と言うAさんに対して、私(役員)が「それではこの会社で働けない」と話すと、Aさんは「一人でも入れる労働組合に相談している」「労働局にも相談する」と言った〉
〈難しい業務でもないのに個人の感情で仕事を選ぶようでは、Aさんがこれからもトラブルを起こすのではないかと不安に思った〉
Aさんは、これらも「事実と異なる」と語ります。




















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