「明るい妻と一緒にいるのは楽しいです。仕事から帰ったときに部屋に電気がついていて、2人で食事ができるのはいいですね」という言葉だけで十分なのかもしれない。
相手の安心が「自分の豊かさ」にも直結する関係性
一方で貴子さんは、政則さんとの結婚について雄弁に語る。一つ目は、親を安心させられたことについてだ。
「結婚が決まったときには父は老齢で介護施設に入っていました。私たちはフォトウェディングだったので、その写真を見せたら、普段は意識が混濁している父が喜んでくれたんです。その翌年に父は他界しました」
独身時代は母親との共同生活を続けていた貴子さん。基本的に仲良しだけれど、意外な緊張感があったと明かす。
「私は片付けが苦手なんです。何かを置きっ放しにしてあるとき、『どっちが片付けるんだろう?』と思っていて、結局は母が片付けてくれたり……。申し訳なく思っていました。キレイ好きの夫との生活はすごく楽です。掃除も含めて何でも率先してやってくれます。精神的にも安定して、母からも『あなた、結婚して良かったわね』と言ってもらえました」
老いた親に何かをやってもらうのは心苦しいけれど、対等な関係の配偶者が自分の苦手をフォローしてくれるのはむしろ嬉しい――。多くの夫婦が同意する感覚だと思う。その喜びをエネルギーにして、自分が得意なことで相手を存分に助ければいいのだ。相手が友人であれば「いずれお返ししなければ」という貸し借りの気分があるが、夫婦にはそれもない。相手が安心して活動できることが自分の豊かさにも直結しているのだから。
インタビューを終えて会計を済ませると、政則さんが「今日のお礼に」と大きめの箱を渡してくれた。中身はなんと白ワインと日本酒が1本ずつ。筆者の魚料理好きを貴子さんから聞き、政則さんが好きな銘柄の中から選んでくれたという。言葉ではなく行動で気持ちを示すタイプなのかもしれない。大人の気遣いができる政則さんの様子を誇らしげに見つめる貴子さんは、今度は何も言わなかった。
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