結婚カップルを長年観察している筆者からすれば、第一印象を重視しすぎる恋愛体質の人は、その後の結婚生活がうまくいかなくなることが多い。「我慢して3回会ってみろ」とまでは言わないが、その人との交際継続を判断するのは2回目に会ったときぐらいがちょうどいいと思っている。政則さんと貴子さんの場合も2回目で意気投合した。
「当時はトム・クルーズ主演の映画『トップガン マーヴェリック』が流行っていました。私たちを紹介してくれた友だちが『面白過ぎて4回観た』と言うので、どんなものかと2人で観に行ったんです。確かに面白かったけれど、観るのは1回でいいよねという意見が合って笑いました」
転機になったのは「車購入デート」
ささやかな笑いで心の距離が少し縮まった2人は次の約束をした。政則さんの車の買い替えに、貴子さんが付き合うことになったのだ。政則さんは接客業のため、お互いの休みが合う日がほとんどなかったことが理由だ。しかし、このお買い物デートで政則さんの感情は一気に高まった。控えめな政則さんが急に興奮して語り始めた。
「同じ車種で買い替えるので、気になるのは価格だけです。持ち帰って考えれば値下げしてもらえることもあるので、その日に契約するつもりはありませんでした。でも、妻(貴子さん)が『目星をつけて買いに来たのに何で買わないの?』と言うんです。確かに、その場で少し値下げしてもらったにもかかわらず、私はいつものように迷っていました。結局、その場で契約して後悔はありません。こんな高い買い物をするのに思い切りがいい人だな、と妻を尊敬しました」
あくまで政則さんの買い物なので、貴子さんが「思い切る」場ではない気もするが、政則さんはここで貴子さんに、頼れるパートナーの理想像を見たのかもしれない。実際、貴子さんは「高い買い物ほど迷わない」傾向にあると語る。
「都内でマンションを買ったときもそうでした。あのとき迷っていたら、値上がりした今はとても買えなかったと思います。実家には妹夫婦が住んでいて、私が買ったマンションは私が出て母が一人暮らし、私たち夫婦は夫の社宅住まいです。千葉県ですが、週3日まではリモート勤務を許可されているので、都心の勤務先までギリギリ通えています。夫が遠くに転勤になったら別居婚せざるを得ないかもしれません。そのときに考えます」
前向きで判断力に富み、甲斐性もある貴子さん。彼女との結婚生活をどれだけありがたいと感じているのかは口下手な政則さんからはよくわからない。





















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