「この給料泥棒が!」部下を罵倒し続けた38歳パワハラ上司が"社会的に"抹殺された恐怖の復讐劇 『子供部屋同盟』1章①

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芥川賞作家✕東洋経済オンラインの「異色コラボ」連載小説!
「子供部屋おじさん」が、あなたの復讐、請け負います。パワハラ、詐欺、痴漢冤罪(えんざい)、書店万引き――。裁かれぬ現代社会の悪を、人知れず断罪する者たちがいた。ダークウェブに潜む謎の復讐代行組織「子供部屋同盟」。
社会から疎外された「子供部屋おじさん」たちが、その特異なスキルを武器に、歪んだ正義を執行する。芥川賞作家・高橋弘希が放つ痛快無比の世直しエンタメ『子供部屋同盟』より、第1章を4日に分けて毎日お届けします(今回は1日目)。

その黒い男は、暗闇の中を小走りで上司の西野へと近づいていた。

黒い男の視点で、太一は西野を見ている。黒い男が身に着けているだろう暗視スコープを通して、太一は西野の背中を見ている。

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毎日のように坂戸(さかど)営業所で見てきた西野のモスグリーンの背広、短く刈り込んだ後頭部、筋肉でやや隆起した肩口──。

黒い男は、西野をどうにかするはずだった。

でも何をどうするのか、これから何が起きるのか、それは太一にも分からない。

いずれにせよ西野には懲罰が下るのだ。

誰かが奴に罰を与えなければならない。でも俺にはそれができない。だから黒い男が執行するのだ。

太一は汗まみれの顔面を手荒く拭って、拳を握り締めた。

西野の背中は、もう目の前に迫っている。

そうだ、やれ! これは俺たちの復讐だ!

奴を社会から抹殺してくれ!

ファイル1 パワハラ上司成敗

佐藤太一は、上司の西野を殺害することに決めた。

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