商談の場合は、何度も相手のところに通って継続的に行われるものです。まずは「軽くジャブを打つ」ようなところから始まり、回数を重ねて相手との信頼関係を作り、いよいよクロージングに持っていく。一回相手を怒らせても、案外その後の誠意の見せ方によっては「雨降って地固まる」になるケースもあります。
しかしインタビュー取材は、基本的には一発勝負です。軽いジャブどころか初対面の相手が開始1分から思い切り右ストレートのような鋭い質問で切り込んできます。
へりくだって競合製品を褒めたら?
商談の場合は、目の前にいる相手をどう説得するか、どのような印象を与えるかが重要です。取材の場合も印象は重要ですが、むしろここで注意を払う必要があるのは、相手が取材後に編集部に帰ってから書くであろう記事の内容です。
相手に良い印象を与えようと、へりくだって自社製品を褒めずに競合製品を褒めたとします。その場にいた人たちは、話の前後関係から謙譲の美徳のようなものを理解できると思います。しかし翌日にネット記事にその発言をストレートに書かれたらどうなるでしょうか。その記事を読んだ人は、ずいぶんと弱腰な発言をする経営者だな、と感じるはずです。
サービス精神が旺盛すぎると、失敗をしがちです。取材で失言をする経営者の多くは、その場で相手の関心を引こうとして余計なことを言いすぎてしまうのだと思います。
そもそもインタビューが経営者にとって難しいのは、2人の非対称性です。経営者にとっては、そう頻繁に取材の機会があるわけではありません。一方の記者は頻繁に取材インタビューをしているので、いかんともしがたい経験値の差があります。
優秀な記者の取材テクニックは卓越しています。わざとこちらをイライラさせてくる記者、相槌を打たせてそこから発言を引き出す記者など、思わず感心してしまうような、いろいろな技を駆使してきます。
なかでも筆者が手強いと思うのが「おバカ」なフリをする記者です。
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