日立の新たな目標「鉄道売上高2兆円」達成の条件 国内で断トツ、世界でも存在感増すが死角は?

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日立 イギリス 工場
イギリス北東部にある日立のニュートンエイクリフ工場。「クラス800」車両が製造中だ(記者撮影)

「鉄道事業の売上高を現在の1.2兆円から引き上げ、2030年には2兆円を目指す」――。

6月11日、日立製作所が毎年この時期に行っている投資家向け説明会で、同社の鉄道事業を率いるジュゼッペ・マリノ執行役専務が高らかに宣言した。

かなり大胆な目標だが、日立には成功体験がある。

今から9年前にさかのぼる。2016年9月20〜23日にドイツ・ベルリンで開催された国際鉄道見本市「イノトランス」で東原敏昭社長(当時)は「2020年代の早い時期に売上高1兆円を目指したい」と報道陣に語った。当時の鉄道事業の売上高は3526億円。国内では断トツだが、世界では中堅クラスにすぎなかった。

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「2020年代に1兆円」は達成

当時は「ビッグスリー」と呼ばれるドイツのシーメンス、フランスのアルストム、カナダのボンバルディアの3社が中国を除く世界の鉄道市場を牛耳っていた。ビッグスリー各社の鉄道事業の売り上げは8000億〜9000億円に達し、日立とは2倍以上の開きがあった。「世界の競争相手と戦うにはもっと規模を大きくしないといけない」と当時の日立の鉄道事業のトップを務めたアリステア・ドーマー氏が説明していた。

【写真】イタリアの高速列車「フレッチャロッサ1000」や新たに受注した新型トラム、アメリカの地下鉄など、日立が世界各国向けに製造する鉄道車両や工場の様子

1兆円というのは難易度が高い目標だが、日立は本当に実現してしまった。鉄道事業の売上高は2024年3月期の8561億円から2025年3月期には1兆1940億円となった。

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