日立の新たな目標「鉄道売上高2兆円」達成の条件 国内で断トツ、世界でも存在感増すが死角は?
目標達成の決め手となったのはフランスの防衛・航空宇宙大手タレス社の交通システム事業を買収したことだ。それによって売り上げが約2826億円加算された。だが、残りの553億円は内部成長によるものだ。北米や欧州における車両・信号事業が貢献したという。
今回の2兆円という目標達成に向けて、これまでのようなM&Aも視野に入れている。「具体的な実行に向けては、機会とタイミングを見極めて実行していく」(日立広報)。とはいえ、M&Aを抜きにした内部成長においても顧客からの受注は順調に積み上がっており、2025年3月期の受注残は6.2兆円ある。
「信号・制御」を強みに快進撃
新年度に入っても新規受注の獲得が続く。4月3日にはイギリスでバッテリーハイブリッド車両45両の製造と10年間のメンテナンス業務を約3億ポンド(約590億円)で受注した。
6月19日には日立、アルストムおよびイタリアの建設業者で構成される企業グループが、ミラノ近郊にあるブレシア市におけるトラム新線の建設契約を受注した。日立は車両18編成、地上・車載通信機器、車載信号システムを納入する。契約総額は約3億2600万ユーロ(約550億円)で、うち日立の契約金額は約7700万ユーロ(約130億円)である。

こうした日立の快進撃は2015年にイタリアの車両メーカーと信号メーカーを買収した賜物だ。これら2社は高速鉄道、自動運転、信号など、日立がのどから手が出るほど欲しい技術を多数抱えていた。しかも2社の生産拠点や得意とする営業エリアは日立と補完し合った結果、1足す1が3にも4にもなるかのごとく、売り上げが飛躍的に伸びた。
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