
「骨太方針2025」が6月13日に閣議決定された。石破茂内閣になって初めての「骨太方針」である。「骨太方針2025」では、賃上げを起点とした成長型経済の実現を打ち出した。
では、「骨太方針2025」で財政健全化目標はどうなったか。
これまで、骨太方針では、2006年に基礎的財政収支(プライマリーバランス:PB)を2011年度までに黒字化するという目標を掲げて以来、財政健全化目標を骨太方針で明記して、時の政権がその収支改善に取り組むということを続けてきた。
しかし、一度も黒字化目標は達成できずに今日まで来た。
「やめてしまえ」とはいかない与党の事情
第2次安倍晋三内閣が策定した「骨太方針2012」には、2020年度にPBを黒字化するとの目標を掲げたが、2017年12月に幼児教育無償化の予算を増やすと決めたことで収支が悪化することが見込まれ、2020年度の達成を断念した。その後、第4次安倍内閣が策定した「骨太方針2018」で、目標年次を2025年度とした。
今年度は、目標を達成しなければならない年である。しかし、石破内閣が組んだ2024年度の補正予算において、歳出のうち年度を超えて繰り越された歳出が2025年度の収支を悪化させることになり、今年度の目標達成は困難視されている。
では、今後どうするのか。PB黒字化目標などやめてしまえ、という主張が自民党内にはある。
しかし、東洋経済オンラインの本連載の拙稿「政権にとって基礎的財政収支黒字化が重要な訳」でも言及したように、PB黒字化という目標を裏付けとして、どの歳出を増やし、どの歳出を減らすかという生殺与奪の権を政権が握り、政権基盤を固める手段として与党が与党であるためにわが国で用いられてきた。
PB黒字化目標は、予算要求する側からは憎いものかもしれないが、政権の求心力を必要とする側からすれば破棄できない旗印といえる。
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