中国EV「蔚来汽車」、販売不振で深まる経営危機 1~3月期の純損失1345億円、資金繰りは綱渡り

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蔚来汽車はマルチブランド戦略による販売拡大を目指したが、成果が伴っていない。写真は2025年4月の上海モーターショーに出展した「楽道」ブランドのブース(同ブランドのウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカー、蔚来汽車(NIO)の経営危機が深刻さを増している。 

同社は6月3日、2025年1~3月期の決算を発表。同四半期の売上高は120億3470万元(約2398億円)と前年同期比では21.5%増加したが、直前の2024年10~12月期比では38.9%の大幅減収となった。

一方、1~3月期の純損益は67億5000万元(約1345億円)の赤字を計上。四半期ベースで過去最大だった10~12月期の純損失(71億1150万元=約1417億円)から顕著な改善は見られなかった。

マルチブランド戦略のつまずき

業績不振の最大の要因は、野心的なマルチブランド戦略のつまずきにある。蔚来汽車はもともと高級車に特化した製品戦略をとっていたが、規模拡大を通じたコストダウンとブランドイメージ維持を両立するため、2つの新ブランドの立ち上げに舵を切った。

そして2024年9月、大衆車市場を狙う「楽道(ONVO)」ブランドから第1号モデルの「L60」を発売。蔚来汽車はL60の販売について「2025年3月までに月販2万台超」という目標を立てていた。

ところが、実際の販売台数は期待を大きく下回り、2025年1~3月の累計で1万4700台にとどまった。1~3月期は「蔚来」ブランドの売れ行きも振るわず、両ブランドの合計販売台数は4万2000台と2024年10~12月期比で4割以上も落ち込んでしまった。

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