
世界基準の品質と「のれんの味」を
ヒロコーヒーの一番の特徴は、自家焙煎コーヒーにある。創業時は焙煎された豆を仕入れていたが、「鮮度が高い豆を、自分でブレンドして納得のいく味作りがしたい」と3年目に焙煎機を購入。味を追求し、生産から抽出までの各段階で厳しい評価基準をクリアしなければ名乗れない「スペシャルティコーヒー」を提供する環境を整えていった。

仕組みはこうだ。まず、海外から生豆のサンプルを取り寄せ、世界基準でコーヒーの品質を評価できる職人「Qグレーダー」がテイスティング。そこで総合評価80点以上のスペシャルティグレードのカップだけが買い付け対象となる。
次に、買い付けた豆を複数のパターンで焙煎し、「品質と持ち味が最も活かせる煎り具合」を山本さん自らが決定。最後に、これも山本さんが、「自分が最もおいしいと感じる配合で」ブレンドする。
「コーヒーの味はあくまで好みなので、正解はありません。だから私が味を決める。レストランでいうところの、オーナーシェフとしての役割を担っています。自分の信じる味が『のれんの味』とでもいうべきものなんです」
「のれんの味」を守るため、山本さんは48年間毎日、5~10杯のコーヒーを味見し続けているそうだ。
「ええ! 毎日10杯も飲んで、健康は大丈夫ですか?」とつい心配になって聞くと、「寿司屋が毎日寿司を握って寿司嫌いになりますか? それは愚問というものですわ」と、鋭いツッコミが返ってきた。たしかに愚問でした。失礼しました。

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