暑さ疲れを防ぐ最強食材「にら」《薬剤師が指南》豊富な栄養をしっかり摂るための”外せないポイント2つ”と食べるときの”意外な注意点”

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にらは不溶性食物繊維やβ-カロテン、ビタミンE、カリウムなどが豊富な、栄養価が高い野菜です。なかでも代表的なのはアリシン(硫化アリル)。玉ねぎやねぎ、にんにくといったネギ類共通のにおい成分で、ピリッとした辛みが特徴です。

アリシンには、血液が固まるのを抑えて、動脈硬化や血栓を予防する効果が知られています。

疲れをとる効果もあり、慢性疲労や筋肉疲労などの回復にも役立ちます。ほかにも強い抗菌作用や、胃液の分泌を促進する作用、エネルギー代謝を高める作用などがあるとされています。

東洋医学的にみて筆者が注目しているのは、体を温める作用です。

にらは冷えた内臓を温めて調子を整え、血液循環を良くしてくれます。胃腸が温まることで消化機能が高まるので、食欲不振のときにもおすすめです。冷えによる足腰の痛みや遺精(いせい:性行為がなく、意識しないで起こる射精のこと)の改善のほか、血流をよくして瘀血(おけつ:漢方で血が滞った状態)をとることで、ケガや打撲による腫れや痛みを軽くしてくれます。

また、体の表面の気(生命エネルギーのようなもの)を巡らせて、外からやってくる邪気(ウイルスや細菌などを含む病邪)から体を守る効果も期待できます。

漢方では「腎(じん)」を補い、性機能を活発にする働きがあることから、「起陽草」とも呼ばれています。

にらを食べるときの注意点

にらはビタミンやミネラルが豊富で、免疫力を高める効果があるなど、健康に役立つ食材として知られています。

ですが、食べすぎはよくありません。

刺激が強いアリシンや不溶性食物繊維が多く含まれるため、過食すると胃腸の調子を悪くするおそれがあります。個人差はありますが、1日半束、多くても1束までにとどめておきましょう。

前述したアリシンが持つ血液をサラサラにする作用も、場合によっては注意が必要です。血液が固まるのを防ぐ薬(抗凝固薬や抗血栓薬)を服用している方は、特に摂りすぎに気を付けてください。

漢方薬を飲んでいる方も注意が必要です。

アリシンの温める作用は強いため、葛根湯(かっこんとう)などの温める性質の強い漢方薬を服用するときの前後の食事では、にら料理は控えるようにしましょう。温める作用が強くなりすぎるため、かえって体力消耗につながります。

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