【今だからこそ乗りたい名車、最も成功した12気筒エンジン】新型がデビューしてもベントレー先代「コンチネンタルGT」に心惹かれる訳

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街中での試乗風景
街中での試乗風景(写真:三木 宏章)

一方、市街地での走行では一切の振動も感じず、究極のシルキーフィーリングは12気筒ならではのもの。クランクシャフト1回転につき60度ごとにファイアリングするからこそ、このスムーズさが生まれるのだろう。エンジン始動着火時にはエキゾーストバルブが開くので、一瞬だけ元気のよい12気筒サウンドを聴かせてくれるが、すぐにバルブは閉じ、早朝でも気がねなくスタートできる音量に落ち着く。

市街地での巡航50km/hあたりでは、エンジンの鼓動などは到底あるはずもなく、限りなくスムーズでシームレスだ。だが、一度アクセルを踏み込めば、まるで高級サロンのようなキャビンをスポーツカーのようなダイナミックな空間に変貌させる。W12型エンジンにセットされたツインターボのブースト圧が上昇するのは、わずかながら時間がかかるものの、これだけの車格のクルマを瞬時に最大加速させるトルクは、6000ccという大排気量ゆえの余裕を感じる。その加速に異論を唱えるドライバーはいないだろう。

電動化によって気がつく内燃機の魅力

コンチネンタルGTのリアビュー
コンチネンタルGTのリアビュー(写真:三木 宏章)

考えてみれば、世界中のエンジニアは、スムーズで、トルクフルで、タイムラグのないエンジンを目指して開発してきたはずだ。そして、それらのエンジンを表す言葉として「モーターのようにスムーズな」と長きにわたり形容してきた。しかし、いざEVの実用が進んでくると、吸排気音の奏でる耳心地のよいハーモニーや、クランクマスから感じるイナーシャなど、ガソリンエンジンでしか味わえない魅力も多々あることに気づかされる。とくにW12型エンジンには、パワーだけではない優美な魅力を感じられた。

足まわりはエアサスペンションとなり、路面の凹凸をほとんど感じさせない。22インチホイールにセットされるタイヤは、フロント275/35ZR22、リア315/30ZR22という扁平サイズだが、乗り味に一切の不満はない。このタイヤサイズ、この車重にもかかわらず、さらに市街地はもちろん、首都高のコーナリングでもロールを抑えつつしっかり踏ん張ってくれるところは、ちょっとした驚きであった。

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