クレカ「サイン決済」3月終了で今やるべき"対策" 暗証番号を忘れたときの"救済策"はあるのか
ただ、その設備投資の金額は小さくないうえ、サイン決済が普及している中で暗証番号決済に一気に切り替えることは容易ではない。そのため、全取引での厳格化はIC取引普及を阻害してしまうとの判断から、レストランなど一部の取引形態ではサイン決済が許容されたもようだ。
しかし、ICクレジットカードの普及に伴い、もはや暗証番号取引が一般的になってきた。そうしたことも鑑み、クレジットカードの業界団体である「日本クレジット協会」が、2023年3月に「暗証番号スキップ」を廃止する方針を発表。各社がそれに従う形で、今年3月にはサイン決済が終了する見通しだ。
サイン決済が完全になくなるわけではない
広く普及し、便利なサイン決済だが、その終了の背景にはやはり「不正利用被害」がある。
クレジットカードの裏側に、自筆のサインをしている人は多いだろう。日本では、本人確認の手法として長らくサインが重用されたため、裏側のサインパネルの署名と決済時の署名を照合することで不正利用防止に努めてきた。
ただ、その実効性は乏しく、裏側の署名欄をまねてサインすれば、不正にクレジットカードを入手した第三者が簡単に利用できてしまうのが現実だ。2023年の国内のクレジットカード不正利用被害額(キャッシング含む)のうち、約33億円がカード紛失・盗難を中心としたもので、サイン決済を悪用したケースも多分にあるとみられる。
そうしたセキュリティー面の課題から廃止される暗証番号スキップだが、すべてのサイン決済がなくなるというわけではない。ある大手クレジットカード会社社員は「加盟店によっては機器導入が追いつかなかったり、運用上の問題でサイン決済がしばらく残ることも想定している」と話す。
また、今回の措置はカードに金属製の「ICチップ」が搭載されているクレジットカードのみを対象としており、ICチップを搭載していない磁気カードでは今後もサイン決済が利用できる見込みだ。
ただ、国内で新規発行されているクレジットカードは、ほぼすべてがICチップ付きとなっている。一部のプリペイドカードなどを除き、今後サイン決済がなくなっていくことは間違いない。
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