発達障害かもしれない人の信頼を失わない働き方 ADHD・自閉症併存の声優が22年間皆勤できた秘訣
毎回、自分の言動はおかしくなかったか、振り返るようにしましょう。何度も何度も振り返った結果、それでも、私たちからは抜け落ちます。私は、これを「魔のブラックホール現象」と呼んでいます。もしこの現象に陥ってしまったときは、潔く諦め、誰かに迷惑をかけたなら謝罪しましょう。それ以上自分を責める必要はありません。
ひとまず1回寝かせる
あなたはラブレターを書いたことはありますか? 私はあります。思いが募るのは、大抵真夜中です。募りに募った想いのままにペンを走らせ、書き綴ったラブレター。翌朝見返してみると……「なんじゃこりゃ! 気持ち悪っ!」。
このように、衝動的に書き綴ったものを冷静になって見返してみると、なんとも恥ずかしいものに仕上がっていることは、よくある話です。
わかりやすいようにラブレターの例をあげましたが、私たちADHDの特性のある人は、他の人よりも衝動的になりやすいので、仕事でも1回寝かせる、ということがとても重要になります。
私は執筆をする際、はじめに企画書を作ります。そのときは、発達障害の特性である「過集中」(何かをはじめると脇目もふらず一心不乱に集中すること)を働かせて、一気に書いていきます。そして、企画書を作り上げた瞬間、「やりきったぞ!」という達成感に包まれ、拳を天高く突き上げるのです。その状態で企画書を見返すと、どこからどう見ても最高です。企画が通る気しかしない。そんな自信に満ち溢れます。
しかし、私はこの段階で企画書を提出することは絶対にしません。がんばった自分自身を褒めたい気持ちが強く、悪いところが目に入らないからです。
この段階で誰かに見せることも危険です。気分が最高潮のときにダメ出しをされると、極端に落ち込むか、そうでなければハイ状態になっているため、人の意見を素直に自分の中に落とし込むことができません。
ですから、私の場合、最低3日は寝かせるようにしています。そして冷静に向き合ってみると、客観的な視点から、書き上げた直後には見えなかった改善点が見えてきます。
客観的に物事を見る。これは企画書作成だけではなく、あらゆる仕事において大切なことだと思います。情熱を燃やして作ったものは人の心を動かします。客観的に冷静に処理されたものは独りよがりにならず、人の共感を生みます。
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