「NHK"旧ジャニ起用"」への批判がピント外れな訳 賛否の「NHKスペシャル」があぶり出した"本当の責任"

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旧ジャニーズ
現在、STARTO ENTERTAINMENTの取締役CMOに就任している井ノ原快彦氏(写真左)とSMILE-UP.の代表取締役社長・東山紀之氏(撮影:尾形文繁)

10月16日、NHKは旧ジャニーズ事務所から事業を引き継いだ、STARTO ENTERTAINMENT(以下STARTO)所属のタレントの起用を発表した。そしてその4日後にNHKスペシャル『ジャニー喜多川“アイドル帝国”の実像』を放映。このタイミングでの放映は、さまざまな臆測を呼んだ。

番組が放映された後も、番組の内容を評価する声が出ている一方で、NHKがSTARTOのタレントを起用することへの批判、ジャニー喜多川氏の性加害を黙認してきたNHKに対する批判の声が増幅される結果にもなっている。

NHKが批判を受けるのはやむを得ない点はあると思うが、批判の論点がズレているようにも見える。

「NHKスペシャル」で再燃した疑問

NHKスペシャルを視聴していない人のためにポイントをまとめておこう。

番組の中では、故ジャニー喜多川氏の生い立ちから性加害行為に至る過程、その姉の故メリー喜多川氏が弟の行為を知りながら、メディアに圧力をかけて隠蔽を図る実態が描かれていた。ただ、これらの点については既知のことが大半で、新しい情報は少なかったように思う。

本番組で、主に物議を醸したのは、下記の点である。

1. SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)補償本部長の被害者遺族に対する心ない対応、特に録音された電話でのやり取り
2. NHKの元理事で、ジャニーズ事務所顧問を経て、現STARTOに所属する顧問への突撃インタビュー
3. このような番組を放映しながら、NHKがSTARTOの所属タレントを起用することへの違和感
4. NHK自身の、過去の旧ジャニーズ事務所との関係が十分に検証されていないという懸念
次ページ「ダブルスタンダードではないか?」という批判
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