2位は中外製薬で6732.8。GHG排出量62.2千t-CO2に対して3期平均の連結営業利益は4188億円だった。電力使用量の多い工場・研究所で電力会社提供のサステナブル電力への転換を推進。再エネ利用率も81.3%と高い水準となっている。2050年にグループでの排出ゼロを目指し、まず2030年の60~75%削減に向け取り組みを進める。
3位は小野薬品工業で6205.7。2035年にスコープ1+2排出量ゼロ、サプライチェーンを含むスコープ3で2030年に30%削減を目指す。一部の製品で使用している仕切りをプラスチック製から紙製に変更し、プラスチック使用削減につなげるといった幅広い環境取り組みを推進する。医療用医薬品の国内物流における共同輸送も開始している。
4位は半導体検査装置世界大手のアドバンテストで5749.7。アメリカ、ドイツの3事業所でグリーン電力証書を購入し、事業所で使用する電力の100%を再生可能エネルギーで賄っている。事業活動によるGHG排出量を2030年までに60%削減する。
5位はサイバーエージェントで5512.4。環境負荷低減と事業活動の効率性維持の両立に取り組む。2024年7月にオープンした複合施設「AMBRE」では、100%再生可能エネルギーを使用している。
以下、6位野村総合研究所(4880.6)、7位伊藤忠テクノソリューションズ(4604.9)、8位電通グループ(4548.2)、9位大東建託(4395.9)、10位大塚商会(3362.8)と上位は情報・通信業やサービス業が多い。
排出量1000t-CO2当たりで10億円以上の営業利益を上げているのは61位の三菱地所(1004.7)まで。100位の東京建物で5.4億円となっている。
炭素のコストが企業に与えるインパクト
このように上位企業の影響は大きくなさそうだ。ただ今回ご紹介していない下位企業は深刻かもしれない。例えば、ディスプレー、建築などでガラス世界級のAGCはGHG排出量11013千t-CO2に対して営業利益は1090.54億円。ROCは9.9(100万円/千t-CO2)だ。前述の1000 t-CO2当たり10百万円の新たなコストがかかると赤字になってしまう。このように排出量が大きい会社にとって決して無視できる話ではない。
政府は排出削減と経済成長をともに実現するグリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けて動き出している。日本が目指す2013年度比で2030年度に温室効果ガス46%削減、2050年カーボンニュートラルという目標達成は決して簡単ではないが、その方向に進んでいく流れは変わらないだろう。
ただしばらく企業には一定の排出枠は認められ、それ以上削減できれば、逆にその枠を売却できるようになる。GHGはビジネスに大きな影響を与える存在になることは間違いない。企業は炭素をコストのままにしておくか収入にするか、各社に合った戦略をじっくり考えておく必要がありそうだ。
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