不登校のオンライン学習、出席扱いに比べ「成績評価への反映」が浸透しない訳 壁となる「学校で受ける定期テスト」「校長判断」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
文部科学省は2023年3月の通知で「教室以外の学習等の成果の適切な評価の実施」を求めたが、十分に対応できている学校はまだ少ないのではないか。こうした中、以前から不登校児童生徒の自宅学習をオンラインで支援し、在籍校の出席や成績評価につなげる取り組みに力を入れてきたのが、クラスジャパン小中学園だ。同代表・校長であり、自身も10年間の不登校経験があるという小幡和輝氏が考える、成績評価のあり方とは。

8割の学校が「自宅でのオンライン学習」を出席扱いに

「自宅でのオンライン学習については、一部の学校を除き、今はほとんどの学校が出席扱いとして認めていますね」

そう語るのは、クラスジャパン小中学園(以下、クラスジャパン)で設立時からアドバイザーとして関わり、2022年から同代表・校長を務める小幡和輝氏だ。

小幡和輝(おばた・かずき)
クラスジャパン小中学園 代表・校長
1994年、和歌山県生まれ。10年の不登校を経験後、高校3年で起業。SNSを活用したマーケティングを専門とし、東京2020オリンピック・パラリンピックでは総フォロワー1000万人以上の公式SNSアカウントを運用。クラスジャパンの設立から教育アドバイザーとして関わり、2022年9月より校長就任。47都道府県すべてを回り、1000人以上の当事者と対話している不登校の専門家。 著書に『学校は行かなくてもいい 親子で読みたい「正しい不登校のやり方」』など
(写真:本人提供)

クラスジャパンは、不登校児童生徒の1人ひとりに「ネットの先生」がチャットを通じて伴走し、自宅学習をサポートするオンラインフリースクール。2018年に設立され、これまでの受講者は累計1000人以上に上る。最も多いのは、小学校高学年から中学3年までの不登校児童生徒だ。

子どもたちは、すららやeboard、スタディサプリ、デキタスといった、5教科を学習できる教科書準拠のオンライン教材などから、理解度に合った教材を選んで自宅学習を進めていく。ネットの先生は、学習計画の段階からサポートし、目標達成まで継続的にフォロー。また、eスポーツやプログラミング、イラストなどのネット部活動や、子どもたち同士のオンライン交流の場となっているホームルームも設けている。

サービスの大きな特徴は、月に1度、そうした子どもたちの学習面や生活面の頑張りをまとめた「学習レポート」を作成している点だ。保護者や学校から要望があれば、担当者が学習レポートについて直接説明を行っている。

しかし、学習レポートは最初からスムーズに活用されたわけではない。

学習レポートのイメージ
(写真:クラスジャパン小中学園提供)

2019年に文科省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」が出され、不登校児童生徒のICT等を活用した自宅学習は、一定の要件を満たした場合に校長の判断で出席扱いや成績評価につなげられることになったが、クラスジャパンがサービスを始めた当時はICT活用が浸透していなかった。そのため、学校だけでなく受講者に対しても、Zoomの使い方などの説明から始める必要があったという。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事